本編前
第五話
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のだから。
答えた後はしっかりと体操服に着替えることを促す。そうしなければ、僅か十分しかない休み時間で着替えて、グラウンドまで出ることなんて不可能だ。
最初の頃はグランドにしろ体育館にしろ遅れて始まることが多かったが、最近は、開始が遅れると体育の時間(遊びの時間)が減ることが分かってきたのか、着替えるのも早く、遅れて始まることはなくなってきたのだが。
しかしながら―――周りを見渡しながら思う。
男女一緒なのはいかがなものか。
いや、無論、やましい気持ちは何もない。ただ、男女が共に着替えているという事実が三ヶ月経った今も僕を困惑させる。
まあ、一年生ということもあるのだろう。そういう類の羞恥心が芽生えるのは、早い人で大体三年生ぐらいといわれているし。
「ショウ、あんた何やってんの? 早くしないと遅れるわよ」
気がつけば、教室には僕とアリサちゃんとすずかちゃんしか残っていなかった。
しかも、彼女たちは体操服に着替えているのに僕はまだ体操服を着ていない。
どうやら変なことを考えている間に休み時間は刻一刻と減っていたようだ。時間を見てみると後五分ぐらいしかない。
走ればギリギリ間に合うか、というレベルである。
「早くしなさいよっ!」
急かしながらも待ってくれるアリサちゃんとすずかちゃんに感謝しながら僕は急いで着替えた。
◇ ◇ ◇
「いっくぞっ!!」
わざわざ宣言しながら、枠の中を剛速球が走る。
今日の体育は、ドッジボールだった。クラス内を適当に二グループに分け、外野が三人出るという形だ。そんな中で僕は最初から外野に立候補していた。
もう少し学年が上になれば、強い奴を外に出してさっさと外野をゼロにしてしまって、勝負をつけるなんて戦略が生まれるのだろうが、如何せん、まだまだそういうことには疎い一年生だ。
しかも、外野がいなくなれば、試合終了というルールを理解しているのかしていないのか、内野であろうとボールを持ったら投げたがる思考にある。
逆にボールを怖がって必死に逃げる子もいたりして両極端に走るのでバランスが取れているといってもいいかもしれないが。
ともかく、外野なんていうのはとにかく出番がないもので、ひたすらに人気がない。しかし、外野は出さなければならない。
僕としては外野としての役割も知っているから、立候補したというわけだ。他の二人はじゃんけんに負けていた。
さて、外野というのは、両サイドでボールを投げ合っている間は、とにかく暇なのだ。
自分たちの陣営がボールをとったとしても、外野に投げるなんて意識がないし、まだ、始まったばかりだから相手陣営の密度も濃いので、相手陣地を
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