本編前
第四話
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のお姉さんは普通に日光の下でも歩いていた。しかし、残念なことに他の細かいことは忘れてしまった。後、せいぜい覚えているのは主人公『高町恭也』と何かしらの契約を結んだということぐらいだ。先ほど、思い出したCGはちょうど、そのシーンのはずで。僕が彼女のルートで一番記憶に残ったところだからだ。その契約がどんな類のものかは細かく覚えていない。
「あれ? どうしたの? 蔵元くん。ずっとこっちを見て。私の顔になにかついている?」
はっ! どうやら、僕は驚きのあまり月村さんのお姉さんの顔をずっと見ていたらしい。怪訝そうな顔で僕を見ている。それは月村さんもバニングスさんも同じだ。
変な疑惑をもたれてはまずい、と僕は慌てて否定する。
「いえ、なんでもありませんよ」
外見は極めて冷静に。しかし、内心は驚きと驚愕にあふれながら、何とか答えた。
しかしながら、改めて思う。月村さんのお姉さん―――月村忍さんは、吸血鬼であるのか?
そもそも、僕の記憶が前世の現実ならまだしも、ゲームの中の話だ。だが、ここは現実だ。僕の常識で考えるなら、吸血鬼なんていうのは架空の存在であり、存在しないことになっている。つまり、月村忍さんが、吸血鬼なのはゲームの中だけで、この現実では、普通でもなんら不思議ではないのだ。
まるで、シュレーディンガーの猫だ。開けてみるまで猫が死んでいるかどうか分からない。つまり、彼女が吸血鬼かどうかなんてことは、彼女自身に僕が尋ねてみるしか方法はないわけだ。
しかしながら、もしも彼女が本当に吸血鬼であった場合、僕は相当困ることになるだろう。なぜなら、現実に吸血鬼という存在がいたとしても、彼らは頑なに自分の存在を隠そうとするだろうからだ。
人間は残酷なことに排他的な存在だ。自分と異なるものを許せない傾向にある。
身体的特徴ですら、簡単にいじめの対象になってしまう。ならば、それが自分たちとよく似た種族であれば? しかも、自分たちの血をすう天敵であるなら?
答えは簡単。殺戮の始まりである。最後の一人残らず。吸血鬼を殺すエクソシストが唱えるように―――『塵は塵に、灰は灰に』である。
つまり、吸血鬼が存在していた場合、それを世間に一切知らせることなく生きてきたのだ。しかしながら、世の中生きるうえで自分の秘密が一人にもばれないなんてことは、天文学的確率だ。地球上のどこかでたった一人にはばれてしまうかもしれない。そして、そのばれたときの一番簡単な対処法は? 答えは簡単だ。口封じ。つまり、その人物を殺してしまうことである。『死人にくちなし』とは上手いことを言ったものである。
そういう理由から、僕は月村忍さんに何も聞かない。第一、聞いて本当のことが分かったところで、僕に何一つとして得はない。むし
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