本編前
第二話
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に月村さんはバニングスさんの心情を読み取ってかクスクス笑っているから。
「こら〜っ! 笑うなっ!」
「ごめんなさ〜い」
追いかけるバニングスさん、笑いながら逃げる月村さん。
やれやれ、子供というのは実に簡単に友達になれるんだな。まあ、これで二人は大丈夫だろう。後は明日にでもなれば、友達になっているはずだ。雨降って地固まるじゃないけど、ハッピーエンドと打ってももいいのではないだろうか。
なにより、僕がバニングスさんのコミュニティーにならなければならないということも避けられて万々歳だ。
さてと、教室に帰るか、と久しぶりにいいことをした、と思いながらハッピー気分で教室に戻ろうと月村さんが逃げた方向とは逆方向から帰ろうと踵返したとき、その視線に気づいた。
いつから、視線を向けていたのだろうか? まるで僕たちを隠れてみるように廊下の陰からこちらを見つめる瞳。僕と一度目が合うと、まるでその視線から逃げるように両手を振ってあたふたしながら、階段を登り、その姿を廊下へと消した。
「今のは……高町さん?」
あの特徴的な変則的ツインテールを忘れられようはずもなく、僕は心当たりのあるクラスメートの名前を呟いた。
彼女も僕と同じく、彼女たちの喧嘩を見て、それを止めるために顔を出したのだろうか。もっとも、廊下に姿を消した今となっては、確認しようがないが。
まあ、いいか。と僕は半ば思考を放棄しながら教室へと戻った。
続く
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