本編前
第二話
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して、校舎内をうろついていた。本当は始まってすぐに話しかければよかったのだが、その前に元保育園組みの女の子二人に捕まってしまったのだ。
なにやら、自分でお弁当を作ってきたから味見をしてくれ、とのことらしい。もっとも、作ったのは数あるおかずの中で卵焼きだけだったが。しかも、ところどころ失敗したのか、黒く、砂糖の分量が多かったせいか、砂糖が塊となって残っており、食べれるといえば食べれるが、判定としては『もっと頑張りましょう』だ。もちろん、僕は素直にそんなことは言わなかったが。代わりにもう一人の同じ保育園仲間の連れが、素直に「まずい」と口を出して、作ってきた張本人を半泣きにさせ、もう一人から拳を貰っていた。
そんなこんなで食べ終わってみれば、昼休みの残り時間は三十分程度。今日のところは、弁当をきっかけに話す機会を作れればいいか、という程度の考えだったので、とりあえず、見つけて適当に話をしよう、とバニングスさんを探していた。
しかし、あれだけ目立つ容姿をしておきながら、中々見つからない。一体どこにいるのだろう? と思っていたら、あまり人気のない中庭に彼女は―――いや、彼女たちはいた。
彼女たち、と複数形なのはそこにいたのはバニングスさんだけではなかったからだ。もう一人、追加でいたのは、もう一人の孤高の人である月村さんだった。
これで、彼女たちがニコニコと穏やかに話しているなら、僕の出番はないな、と立ち去るのみであるが、困ったことにそんな雰囲気ではない。むしろベクトル的には真逆といっていいだろう。剣呑な雰囲気だ。
具体的な状況としては、バニングスさんが、月村さんの髪の毛を引っ張っている、というどうしてこうなったのか、僕にはまったく理解できない状況だった。良心的な意味で、この状況をこのまま見過ごすことは出来ない。
僕は、走って現場へと直行した。幸いなことに僕が彼女たちを見たところから現場までは、中庭を突っ切ればすぐに着く距離だ。もしも、規則を守って回り道していたらかなり遠くなるが。もちろん、この状況にそんな規則を守るなんて悠長なことをしている暇はなく、僕は、中庭を突っ切って走りながら彼女たちに近づいた。
近づいてみて分かったが、状況は遠めで見ているよりも悪いことが分かる。髪の毛を引っ張られていたいのだろう。月村さんは半分涙目になりながら、頭の上のカチューシャを押さえている。一方のバニングスさんは、髪の毛を引っ張りながら、月村さんが逃げられないようにして、執拗に真っ白なカチューシャを取ろうと、いや、奪おうとしている。
「貸しなさいよっ!」
「嫌っ!」
バニングスさんと月村さんの声からも僕の考えが正解であることは明白だ。
何が原因でこの状況が始まったか、直感的に理解したが、今はそんなことはど
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