本編前
第二話
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ここで、僕が仲介したとしても彼女がおとなしく従うとは到底思えず、逆もまた然りである。つまり、バニングスさんに限って言えばお手上げということである。しかし、このまま彼女が孤立していくのを見ているだけというのは実に拙い。彼女を取り巻く空気は今のところ、平穏になっているが、彼女の向こう気と徐々に上がっていく年齢を鑑みると実に危険だ。一触即発の空気になるのも近いはずだ。そうなれば、待っているのは、数の暴力という名の現実。ここが私立なだけに退学という事実がありうる事実を考えれば、公立よりも可能性は低いとは思うが………いやいや、そんなことを考慮しないが子供であり、それが一番恐ろしいところである。
さて、このまま放っておくのはかなり拙い。最悪と言っていい事態だ。しかしながら、介入という手段は封じられた。ならば、その条件下で導かれる解はたった一つしかなかった。
僕自身が近づいて彼女とコミュニティーを作ることである。
いくら精神年齢が高くても二十歳までの精神年齢を持つ僕には適わないだろう。彼女の向こう気も僕なら受け流せる。ただ、一点気になるところがあるとすれば、せいぜい性差ぐらいだ。今はいい、だが、これが高学年になるまで続くと、今度は僕とコミュニティーを組んでいること自体が標的になり始める。しかしながら、ゲームとほぼ同じ状況下になりつつある現状ではこれがベターであると考えられる。
もし、僕が僕だけのことを考えて、ほかを簡単に切り捨てられる人間であれば、アリサ・バニングスとすれ違うだけの人間であれば、彼女のことなど放っておいただろう。彼女がゲームの中で起きた出来事に巻き込まれたとして新聞の片隅に載ったとしても、その記事を読んだ一瞬だけ同情を覚え、一日もすれば忘れてしまえただろう。だが、出会ってしまった。クラスメイトになってしまった。交差してしまった。陳腐な言葉でこの出来事を飾るとすれば、『運命』とでも飾ればいいのだろうか?
さすがに、なるかもしれない、と知っておきながら放っておくのは良心が咎める。もしも、まあ、大丈夫だろう、で放っておいて、ある日突然ゲームの内容のようなニュースが知らせられれば、きっと罪悪感で一杯になるだろう。後悔するだろう。
だから、今からの行動はアリサ・バニングスがあの悲劇にあわないようにするためではない。彼女を救おうだなんて大それたことを考えてのことではない。ただ自分が後悔したくないから、胸を押しつぶされるような罪悪感を感じたくないからという自己満足であり、偽善である。
行動するなら善は急げである。早速、今日の昼休みにでも声をかけてみることにしよう。
◇ ◇ ◇
さて、バニングスさんは何所に行ったのだろうか。
昼休み、弁当を食べ終わった僕は、バニングスさんを探
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