本編前
第二話
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のクラスメイトよりも高いのだろう。だからといって、バカにしているわけではなく、他の女の子に話しかければきちんと返答することから考えても孤立しているとは言いがたいのだが。まあ、言えば、一人が好きという人間なのだろう。これで、人の目に怯えているとかだったら、考えるが、どう見ても彼女はそんなタイプには見えないので僕としては心配はしていない。
そして、もう一人が問題だった。
もう一人の名前は、アリサ・バニングス。そう、僕がプレイしたゲームの中では、陵辱劇の被害者である。彼女の場合は、月村さんとはまた異なった背景を持って、孤立している。そう、月村さんのように孤立しているなら何も心配はしていないのだが。この世界に気づいた次の日、僕は彼女が心配になって同じ保育園だった女の子たちにバニングスさんを誘うように頼んだのだが、それは失敗した。バニングスさんは、どうやら僕や月村さんと同じく小学校一年生を相手にするには精神年齢が高いようだ。保育園仲間によると『バニングスさんは面白くない』だそうだ。しかし、クラスメイトは彼女たちだけではない。バニングスさんも月村さんのようにどこかで距離を保つか、気の合うコミュニティーを見つけるさ、と楽観視していた。
しかし、その思いはあっさりと崩されてしまった。彼女はどうやら向こう気が強いようだ。入学式三日目にして女の子のコミュニティーの中でも最大規模のコミュニティーのリーダー格とやりあってしまったそうな。喧嘩というには可愛らしいものであるが、最大コミュのリーダーが彼女を嫌ってしまったという事実は実に痛い。僕は生前も男だったからよくわからないが、どうやら女の世界とは酷く醜いものらしい。特に学校などの閉鎖された空間の中では。僅か小学校一年生にしてその欠片を見ることになろうとは………。それだけでも痛手なのに、彼女の容姿もまた問題を引き起こしていた。つまり、子供特有の排他的思考である。彼女の流れるような金髪と日本人というには白すぎる肌から判断したのだろう。
―――自分たちはどこか違うと。
子供は、素直であるが故に残酷である。どこか違うと判断されたバニングスさんは、皆から敬遠されていた。もしも、彼女の向こう気が強いだけならば、どこかの男の子が多いコミュニティーに入ることも可能だっただろうに。事実、そんな女の子は少ないながらもいる。
しかし、参ったな。
僕は一週間経ってからの現状にこっそりとため息をはいた。あれから思い出してきたのだが、彼女が襲われた理由はバニングスさんが一人だったからだ。常に一人。高すぎる精神年齢とその金髪という自分たちは違うという排他的心理により彼女は常に一人だった。だからこそ、狙われた。狙われてしまった。
それを思い出したのは、つい昨日のこと。事態は既に最悪の事態まできていた。
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