本編前
第一話
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、僕の心の中であまり衝撃はなかった。ふぅ〜ん、そうだったんだ、という程度だ。なぜなら、僕は既に開き直っているからだ。この世界に生まれて数年悩み出した結論が僕の土台になっている以上、この事実で僕という存在は揺らがない。
―――我思う、故に我あり。
―――ケ・セラ・セラ。
この世界が『とらいあんぐるハート3』の世界? だから、どうだというのだろう。少なくとも六年という新しい人生だが、僕の両親が、保育園で過ごした仲間が、今日出会ったばかりのクラスメートが、パソコンの中で動くプログラムのように決められた行動をとっているとは到底考えられない。
この世界は、僕にとって間違いなく前世の世界と同じく現実で、ゲームのキャラクターと同じ名前の人物がいる程度にしか思えない。たとえ、この世界がとらいあんぐるハート3と同じシナリオを辿るとしても、あのゲームの主人公は『高町恭也』であり、僕ではない。ならば、僕にとってこの世界がとらいあんぐるハート3であるかどうかなんて微塵も関係ないわけである。
ならば、なぜこの世界がとらいあんぐるハート3の世界かどうか調べたか、というと、単なる好奇心である。それ以上でも、それ以下でもない。
しかしながら、仮にこの世界がとらいあんぐるハート3の世界だとして、そのゲームのシナリオどおりに世界が動くとすれば、アリサ・バニングスは、あの陵辱劇の被害者になってしまうわけだが。だが、この世界はゲームではない。そうなるとは限らない、ともいえるわけで……つまり、現実の交通事故と同じだ。巻き込まれるかどうかは分からない。だが、人より幾分その可能性が高いという風に考えられるわけで。
明日から彼女のことを少しだけ頭の片隅においておくことにしよう。
そう結論付けて僕は、パソコンの電源を切り、そろそろ睡眠を求めている身体に従ってベットの中にもぐりこむのだった。
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