本編前
第一話
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えたところで、不意に脳裏にフラッシュバックする光景。
―――廃ビル、裸の幼子、虚ろな瞳、白濁に汚された身体。
その刹那に浮かび上がってきたあまりの嫌悪感を催す光景に吐き気を覚え、口を押さえた。幸いにしてその光景が見えたのは一瞬だったため、すぐにその吐き気はおさまったが、あの光景を見てしまった嫌悪感だけは拭い去れなかった。だが、その光景を見たことで思い出せたこともある。
ああ、そうだ。あれは……あの光景は―――
『とあいあんぐるハート3』と題されたゲーム中のCGじゃないか。もっとも、あれはCGというだけに二次元だったが、今、その原型ともいえる彼女を目の前で見てしまったせいか、かなり三次元近い状態で復元された光景を想像してしまった。
とらいあんぐるハート3―――前世でいわゆる18歳未満お断りのゲームである。僕に『可愛いは正義』という格言を教えてくれた友人の勧めに従ってプレイしたゲームだ。そんな感じで勧められるがままにプレイしたゲームだったが、音楽のある小説という部分が合致したのか、あるいは、剣術という物語の中でしか語れないような背景が気に入ったのか、意外とのめりこんでしまった。三日ほど集中してプレイした結果、すべてのヒロインのエンディングを見ることに成功していた。もっとも物語の内容の細部までははっきりと覚えていない。ヒロインの名前なんかも忘れている。だがアリサ・バニングスの件は、記憶の関連付けでもされたのか思い出した。それは、おまけのシナリオを残すのみといったところで起きた悲劇だ。
そう、今しがた思い浮かんだCGである。もう既に自己紹介が終わって椅子に座っているが、その彼女がメインのおまけシナリオだ。それが、喜劇ならどれほどすっきりとした感情でゲームを終えられただろうか。残念なことにそのシナリオは喜劇ではなく悲劇。今までの世界観を壊してしまいそうなほどに残酷な陵辱劇だったのだ。
確か、彼女が陵辱され、殺され、自縛霊となって云々だったように記憶している。細部は覚えていない。何より強烈だったCGのせいで。はて、しかしながら、これだけでは整合性が合わない。アリサ・バニングスという少女だけでは僕がプレイしたゲーム『とらいあんぐるハート3』に絡んでこないからだ。自縛霊というだけにあの巫女さんヒロインだっただろうか。いや、違う。確か最後は、泣いてくれる友人を得て成仏という流れだったような気がするから………
もう後一歩で思い出せそう、喉までは出ているという状態で考えが止まる。そんな僕の耳に次々と続けられる自己紹介の声が聞こえる。だが、その声も耳に入っているだけだ。頭にはまったく入ってこない。右から入って左に抜けるとはまさしくこのこと。
バニングスさんより後に自己紹介しているクラスメイトには申し訳なく思うが、こ
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