第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第10話 To be,or not to be
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た。
晴れ渡った冬の氷空を思わせる瞳で、俺を捉えたままで……。
成るほど。どうやら、俺が最初に冗談で言った事を真に受けているのですか。
曰く、ヒモは漢の浪漫だと。
しかし、そんな事ぐらい、俺の能力を見たら、冗談だったと直ぐに気が付くと思っていたのですけど……。
もっとも、そんな事は、今はどうでも良いですか。彼女が見た目通り生真面目な性格で、イマイチ冗談が通じ難い女の子だと判っただけですから。
それに、そんな人間を俺は嫌いでは有りません。
「それは有り難いな。何せ、ヒモは漢の永遠の浪漫やからな。
せやけど、俺はヒモやなしに、タバサの使い魔なんやから適当に仕事を与えた方が良いんやで。
これでも、結構、有能な心算なんやから」
最後は少し軽すぎる雰囲気で答えて仕舞ったけど、これで良いと思います。あまり、シリアスなシーンの長回しには慣れていません。それに、
「それに、タバサは魔法学院卒業までは動く心算は無いんやろう?」
一応、その部分に関しても聞いて置くべきでしょうね。
流石に、明日にでも母親を正気に戻してくれ、と言うのは難しいので。出来る事なら、そのエルフの薬とか言う代物を手に入れてからの方が、確実に治療出来ると思いますから。
タバサが無言で首肯く。これは肯定。
当然、準備期間も必要。更に、タバサの父親の死の真相をちゃんと知ってから、その結論を選んでも良いとも思いますしね。
タバサが生きて騎士にまで任じられている以上、どうも、単純に王家に因って誅殺された訳では無さそうな雰囲気が有ります。
何故ならば、普通の謀反人の家に対する処置としては、これは明らかに生温い対応です。
これは、間違いなく真相を知る必要が有ります。それで無ければ、更なる悲劇を生み出す可能性が高いと思われますから。
……少しの空白。
ふむ。これで話は終了と言う訳ですか。
それに、タバサの抱えている問題も大体のトコロは理解出来ました。まして、彼女が仇討ちを考えていない事については、正直に言うと、かなりほっとしています。
そして、その答えに到るまでの彼女の葛藤を思うと……。
誰だって判っていますから。復讐からは何も生まれないと言う事は。
しかし、それ以外では生きる術を……生きて行く活力を得られない、持てない者も存在しています。それに、気持ちの問題も有ります。
それを乗り越えた上で、彼女は、父親の仇討ちを行う心算ではない、と言い切り、生きている母親の治療のみを俺に頼んで来たのですから。
こんな事を思って良いかどうかは疑問が残るけど、彼女は、過去よりも、未来を得る事を望んだのだと思います。
……いや、これは少し上から目線の様な考え方に成りますか。
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