第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第10話 To be,or not to be
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ではないとも思いますから、今まで通りで良いとは思いますけどね。
しかし、あの逡巡に似た感情の動きは、もしかすると、俺の方が、彼女の本名を呼ぶ事に拘りが有ると思われたのかも知れませんか。
もし、そう思って尚、タバサが偽名を呼ぶ事を強制したとすると、俺を完全に拒絶した事となり、折角、良好な人間関係が築けそうな雰囲気だったトコロをぶち壊して仕舞う可能性が有る、と思ったのかも知れませんね。
少し、あの質問は不用意過ぎましたか。
本来、そんな細かい事は、俺に取ってはどうでも良い事なのですが。まして、未だ彼女が何故偽名を名乗っているのか、その理由の説明を俺は受けていない訳なのですから。
更に、魔術的に言うならば、俺に取っては、タバサと言う名前の方が正式な彼女の名前に成っています。
その理由は、そのタバサと言う名前で召喚が行われ、その上、契約まで交わされていますから。多少の違和感や、微妙な食い違いは時間が解決してくれる些細な問題だと思います。
「わたしの父は、ある男に殺された」
タバサが淡々と語り始めた。但し、口調ほど感情の方が落ち着いていた訳では有りませんが。
もっとも、自らの父親が殺された、と言う事を告白する際に、感情を乱さない人間はいません。彼女の心の動きは当然の事ですか。
「父を殺したとされている男は、次にわたしを殺そうとして、その身代わりに、わたしの母親にエルフの作った精神を破壊する薬を飲ませた」
月光が支配する静寂の世界の中で、蒼き姫の独白が続く。
なるほど、大公と大公家の姫君を殺そうとするか。これは、どうも御家騒動の臭いがするな。
それに、ガリアと言うと、確かフランス辺りを指す地名だったような記憶が有ります。
ガリア戦記だったかな。ガイウス・ユリウス・カエサルの書いた本の中に有ったと記憶していますしね。
それと、先ほどのタバサの台詞の中に、もうひとつ疑問が有ります。タバサは、何故か、父を殺したとされている男と表現をしました。これは、ウワサや憶測レベルの話でしかないと言う事で、彼女自身が確信を持てない情報を語っているみたいな表現方法だと思います。
「その男は、更に、その存在自体が不確かな内乱計画の首謀者にわたしの父を仕立て上げ、わたしの家、オルレアン大公家を取り潰した。更に、その煽りを受けて、国内の多くの貴族にも粛清の嵐が吹き荒れている」
成るほど。矢張り、御家騒動ですか。
但し、内乱の計画が本当に有ったのか、無かったのかは判らないと思いますが。
今、俺が聞かされているのは、タバサの知っている事実だけで有り、これが確実に真実で有ると言う保障は何処にも有りません。
もっとも、その事についても、タバサ自身も不確定情報として認識しているような
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