第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第10話 To be,or not to be
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「シャルロット・エレーヌ・オルレアン。
ガリア王国オルレアン大公シャルルの娘。それがわたしの名前」
気負う事なく、今までと同じ淡々とした雰囲気で、自らの名前を口にする蒼い少女。生命体の気配のしない異常な空間内を、彼女の声と紅と蒼二人の女神の光輝だけが支配し続けた。
成るほど。辺境伯、公爵と続いて、ついに大公家の姫君ですか。これは、何処かの現王家のお姫様が現れるのもそう遠い未来の話では有りませんね。
少し斜に構えた思考でそう考える俺。
それに、何故か、タバサ……いや、シャルロットが自らの出自を話してくれましたしね。
尚、今度の自己紹介に関しては、最初に彼女が名乗った時のような違和感を覚える事は有りませんでした。これは、つまり、今回の自己紹介は本当の名前を名乗ったと言う事だと思います。
但し、よく判らない点がひとつ。彼女は、シャルロットと言う名前を、本当の名前とは表現しなかった点。大した理由もなくそう表現した可能性も有りますけど、もしかすると、彼女自身が……。
いや、それは考え過ぎか。
まぁ、彼女が俺に対して本名を告げた理由は、俺の方が自分の正体を簡単に明かしたからだとは思いますけどね。
おそらくは、俺が何の蟠りもなく自らの正体を龍種やと明かしたのだから、自分の方も明かさなければフェアーではない、……と、そう思ったのでしょう。
もっとも、そんな事を気にする必要は無いのですが。そんな程度の事で、俺が彼女に対する態度を変える訳は有りませんからね。
「それならば、これからはふたりだけの時は何て呼んだら良いんや?
今まで通りタバサか、それともシャルロットか」
もっとも、何故、本名を隠して魔法学院に通っているのかも判らなければ、そのガリア王国とやらの騎士をやらされている、と彼女が表現した理由も判らないのですが。
騎士とは、名誉有る身分と言う訳ではないのでしょうか。
俺の方を見つめるタバサ。これは、考えていると言う雰囲気。
そして……。
「タバサで良い」
そう、先ほどまでと同じ口調で答えるタバサ。
但し、同時に少しの逡巡のようなモノを感じるのですが……。
あの短い空白が、どう言う意味かによって、彼女に取ってのシャルロットと言う名前の意味が変わって来ます。
大切にしている可能性の方が高いとは思いますけど、その場合は、ぽっと出の、何処からやって来たのかも判らないような俺が気安く呼んでも良い名前だとは思えませんから。もっとも、彼女に取って、既に捨てて終った名前の場合も、思い出したくない過去を思い起こさせる名前の為に、その名前を呼ばれる事は拒否をするとは思いますが。
ただ、彼女に取って、俺自身が現状ではそう大きな存在
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