第一部「数奇なる騎士」
第01話「地に伏した凶鳥」
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「・・・・・」
「このっ、そこだっ!」
二人のパイロット候補生が、PTのシミュレーターで訓練を行っていた。
「・・・・・」
無言の少年、ライトフォード・シラヌイは、標的のリオンの軌道上にマシンガンを撃ち込み、バランスが崩れたところにプラズマステークを打つという戦法で次々と敵機を落としていく。
「このォ!あたれぇ!」
一方、声を上げている少年、タカヤ・ハスナカは、マシンガン二丁による弾幕戦法で追い詰める、が、命中時に十分な火力を叩き込めないせいか、なかなか撃墜には至らない。
しばらくして、シミュレーター内のタイマーが0となり、画面に終了の文字が出る。
「シラヌイ、ハスナカ、そこまでだ。」
教官のラッカー・アダム中尉も二人に終了を促す。
「了解です。」
ライトが言う。
「畜生、終わりかぁ・・・!」
タカヤも声を上げ、二人が同時に、シミュレーターから出てくる。
「ツキタニ、スコアは?」
アダムが尋ねる。
「はい、ライト軍曹が8機、タカヤ軍曹が5機です。」
アダムの問いに、同じく候補生のミナミ・ツキタニが答える。
「くそ〜、また負けたぁぁ!!」
タカヤが天を仰ぎながら声を上げた。
「まあまあタカヤくん、それでも5機だよ?ミナちゃんだってMAX4機だし、私はMAX2機しか落とせないんだからさ、ね。」
3人と同じ候補生のナナセ・クルトバードがタカヤをたしなめる。
「そうよ。初っ端から6機撃墜したようなエース候補に、私達がかなうわけ無いでしょ?」
ミナミが、やれやれ、という具合にタカヤに言った。
「いいや、いつかはライトに勝ってみせる!俺は勝ってやるさ。」
タカヤが向き直ってミナミに言った。
「そう言ってもねえ・・・弾幕張ってもなかなか落とせないなら、ライトには・・・」
ミナミが顎に手を当てながら言った。
「いや・・・タカヤの戦法は絶対に悪いものじゃない。弾幕によるかく乱戦法は敵機の撃墜だけでなく、味方機の援護にも向く。撃墜しきれなくても、味方を最大限サポートできる。」
ライトが、タカヤの戦法を分析して見解を下す。
「そうなのか?」
タカヤが目を見開く。
「ああ、実戦においても、近中距離からの援護が可能な機体やパイロットは重宝される。」
ライトは、データをDコンに転送しつつ言った。
「そうか、そうだな!ヘヘッ、なんか照れるな・・・」
タカヤは鼻の頭を指で撫でた。
「だが、ただ延々と撃っているだけではすぐに弾切れを起す上に、最悪味方に当たりかねん。そのあたりは、やはり慎重になる必要がある。」
しかし、アダムが教官としての見解を下し、タカヤが少し肩を落とした。
「・・・・」
ライトは、転送が終わったのを確認すると、出入り口へ向かう。
「あ、ライト、どこいくの?」
ナナが声をかけた。
「・・休憩
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