第七十六話
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正史編纂委員会東京分室。
ここは甘粕冬馬の直属の上司が居る所である。
上司の名前は沙耶宮馨。
まだ高校生と言う身分で室長の地位に着く男装の麗人である。
「さて、リア充真っ盛りの甘粕冬馬さん。報告と言うのはいったい何なのだろうか。君のただれた性生活については是非とも拝聴したい所ではあるが」
「何を言っているんですかっ人聞きの悪い事は言わないでください」
馨の言をあわてて否定する甘粕。
「おや、違いましたか。毎日毎日うら若き女子高生の家に上がりこみ夕飯をご一緒していると言う噂を聞いたのですがね」
「ぐっ…貴方が監視させているのでしょう。それに馨さんが想像なされるような華々しい事はありませんよ」
ユカリが護堂を降してから、彼女の監視に就いていた調査員がことごとく気絶させられて寒空の下で発見された。
一応派遣された彼らとて一流の下程度には穏形の法を心得ている。
しかし、彼らは気がつかれない内に気絶させられていたと報告を受けた甘粕は自分でおもむく事になる。
だが、甘粕でさえも黒歴史に封印してしまいたい出来事が起こる。
気配を消してユカリが家へと入った事を見届けた甘粕は以前にポジショニングした監視場所へと移動しようとして後ろからユカリに声を掛けられたのだ。
「甘粕さんですね」
「おやおや、ユカリさん。奇遇ですな」
と、おどけて答えてみせる甘粕だが、自分に気配も悟らせない人間の出現に息を呑む。
しかも自分は確かにユカリが家に入る姿を見届けたはずなのに、だ。
自分でもそれなりに能力の高い方だとは思っていた。
しかし、自分の半分にも満たない年の少女に後ろを取られ、声を掛けられるまで気がつかないとは…
これは黒歴史だろう。
「ふふ。そう言う事にしておきましょう。私なんかの監視のためにわざわざおもむいてくれるとは、うれしい限りですね」
「うれしい、ですか?」
「ええ。どうせアテナが帰るまで監視するつもりなのでしょう。どうせなら家で夕飯を食べていってください。……手料理を作って待っているご家族や恋人がいるのなら無理にとは言いませんが」
「いえ、私にそう言った方は居ませんよ。一人身が寂しい独身貴族ですな」
「そうですか。では是非いらしてくださいな」
甘粕は考えるが、力量が上の存在からの招待を断れるほどの勇気は無かった。
「では、お言葉に甘えさせていただきます」
と、その後夕飯を一緒に取り、アテナが帰るのを見て帰宅するのだが、甘粕以外の監視が付くとまた気絶させられて捨てられているのである。
そして甘粕が監視に着くとユカリは甘粕を夕食に招待するのだ。
…
…
…
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