摩天楼の悪魔
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かしなところはない」
将軍は声の方に振り向くこともなく壁に掛けられている地図を見た。全体的にロシア風の装飾が施された部屋である。
やはり彼の故郷であるロシアを思ってのことだろうか。
「そうか。てっきりあの男も動くと思ったのだが」
声の主が部屋の中に入って来た。一枚の巨大なスペードのエースのカードが部屋の中に現われそこから浮き出てきた。
「ならば俺も動く必要は無いな」
ゼネラルシャドウであった。彼は将軍の言葉を聞き満足気に笑った。
「あの男というのは誰だ」
ブラック将軍はそこではじめてシャドウに顔を向けた。
「言わずともわかっていると思うが」
「確かにな」
将軍はその言葉に対し頷いた。
「あの男は今オーストラリアにいる筈だ。わざわざニューヨークの作戦にまで介入するとは思えんが」
「普通に考えればな」
シャドウはトランプのカードを玩びながら言った。
「しかしあの男は伊達に改造魔人で最強の座にいたわけではない」
シャドウの声が脅威を覚えるようなものに変わった。
「貴様がそのようなことを言うとはな」
ブラック将軍はそれを聞いて目を光らせた。
「俺とて自分の力量はわきまえているつもりだ。あの男の力は尋常ではない」
「そうか」
「うむ。聞けばタイタンの奴も水面下であの男と色々と綱引きをしているそうだが」
「それは初耳だな」
ブラック将軍はそれを聞いて言った。
「死神博士とよく会っているというのは聞いたが」
「何っ、死神博士とか!?」
それを聞いてシャドウの顔色が変わった。普段の取り澄ました様子とは違っていた。
「そうだ。あの男のことだ。何か思惑があってのことだろう」
「ううむ・・・・・・」
シャドウはそれを聞き思案を巡らせた。
「あの男、一体何を考えているのだ・・・・・・」
彼はそれを聞き考え込んだ。
「私はそこまでは知らん。ただ二人が会っているという話だけは聞いた」
「そうか」
彼はそう言うとトランプを懐に直した。
「どうやら俺も動かなければならんようだな」
地図を見て言った。
「礼を言う。いいことを聞いた」
「何、礼には及ばん」
将軍はシャドウに対し言った。
「この程度は情報のうちにも入らん」
「貴様がそう思うならそれでいいが」
彼はマントを翻した。
「何はともあれこれで失敬させてもらおう」
そしてマントで全身を包んだ。
「マントフェイド!」
ゼネラルシャドウは何処かへ消えていった。ブラック将軍はそれを黙って見ていた。
「改造魔人の方も色々と動きがあるようだな」
彼はシャドウの消えた後を見ながら言った。
「私も作戦の準備を進めるとしよう」
そう言うと部屋を後にした。
結城丈二は立花と共にニューヨークを所々歩き回っていた。
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