十番目の光
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村雨は一言も語らずバイクを走らせていた。
「・・・・・・・・・」
彼はただ前を見ている。そして雨が横殴りに降り注ぐ夜の道を突き進んでいる。
谷を幾つ抜けただろうあか。彼は奇巌山に辿り着いた。
「バダン、今日が貴様等の最後の日だ」
彼はバイクから降りた。そして山を登り入口を見つけた。
そしてその中へ入って行く。その手には何も無い。ただ拳だけがあった。
ゼクロスに変身し中を進む。基地の中には何も無い。
「何処にいるのだ」
彼は気配がしないことを不思議に思った。だがそれでも先へ進んでいった。
「ギィッ」
後ろから声がした。手裏剣を投げる。
だがそこにいたのは唯の機械の人形であった。手裏剣を受けたそれは後ろに倒れた。
「練習用の機械か」
ゼクロスはそれを見て呟いた。そして再び足を基地の奥へと進めて行く。
やがて指令室まで来た。
「ここに来るまで誰もいないとはな」
ゼクロスは流石に妙に感じていた。だが警戒は怠らない。
身を隠しつつ基地の扉を開ける。そしてその中に爆弾を投げ込んだ。
「行け」
そう言うと念じた。爆弾は指令室の中で爆発した。
爆発が終わったのを確かめてナイフを手に中に入る。指令室の中は廃墟と化していた。
「何っ!?」
だがその中にも誰もいなかった。ただ爆発で四散した機器が散乱しているだけであった。
「ここにもいないというのか・・・・・・」
ゼクロスはいぶかしみながら部屋の中を見回した。その時であった。
「そうだ、残念だがこの基地にはもう誰もいない」
「その声はっ!?」
聞き覚えがあった。声のした方を振り向いた。
そこにあったのはモニターであった。モニターにはあの男が映っていた。
「惜しかったな。もう少し早ければバダンの中枢を破壊出来たというのにな」
三影はニヤリと笑いながら言った。
「貴様っ、まさか俺が来ることを・・・・・・」
「いや、そんなことは夢にも思わなかったがな」
彼はそう言うと言葉を続けた。
「我がバダンが日本だけにいると思っていることが貴様のミスだ。我等は世界征服を考えているのだぞ」
「クッ、そうだった・・・・・・」
ゼクロスはその言葉を聞き歯噛みした。
「その我等が日本だけに関わると思うか。ここは一時撤退するだけだ」
彼はそう言うと口の端を歪めた。
「しかしな」
サングラスの奥の目が光った。
「ゼクロス、貴様はこの手で倒す。この俺の手でな」
目の光が禍々しいものになっていく。
「望むところだ」
ゼクロスも身構えた。
「だがここで戦うつもりは無い」
三影は言った。
「どういうつもりだ?」
「俺が貴様を倒すに相応しい場所はここではない。より相応しい場所で勝負をしてやる」
「そこは何処だ!?」
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