十番目の光
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クロスが蹴りの衝撃をもって跳び退いた。タイガーロイドは地に落ちた。
「グググ・・・・・・」
次第に三影の姿に戻っていく。
「この俺を倒すとはな・・・・・・」
全身を激しい痛みが襲う。だが彼はそれでも立ち上がった。
「迂闊だった、接近戦のことを考えていなかったとはな」
着地したゼクロスは彼と向かい合っていた。
「今日は俺の負けだ」
彼は口から血を漏らしながら言った。
「だがこれだけは覚えておけ」
彼は言葉を続ける。
「最後に勝つのはバダンだ。そして貴様も最後にはこの俺に敗れることになる」
「まだわからないようだな」
ゼクロスはそれを聞いて言った。
「わかる?何をだ?」
彼はそれに対して口の端を歪めて答えた。
「貴様の戯言など誰が聞くというのだ。勘違いしてもらっては困るな」
彼は全身を襲う痛みに耐えながら言っていた。
「人の根は悪だ。悪こそ人の本質だ」
まだ言葉を続ける。
「その悪を俺は超越し支配するのだ。それがバダンの理想だからな」
「それが理論武装に過ぎないというのがわからないのか」
「理論武装か。その言葉は貴様にそのまま返してやろう」
彼は反論した。
「貴様は偽善者だ。貴様も多くの者を殺めてきたというのにな」
「・・・・・・・・・」
その通りであった。彼は訓練において多くの者をその手にかけてきたのだ。
その罪は消えない。だが彼はそれを償おうと考えている。
「言っておく。罪は消えない。決してな。人は罪そのものだ」
彼はそう言うと口の端を再び歪めた。
「貴様がその罪ある人間共につくというのならつくがいい。そして裏切られるがいい」
彼は嘲笑した。
「そして絶望の底に沈み死んでいくのだ」
「・・・・・・言う事はそれだけか」
ゼクロスは言った。
「何っ!?」
「貴様の言葉が正しいかどうかは最早言うまでもない。貴様は負けたのだからな」
ゼクロスは冷たい声で言った。
「強い者が正しいのならば俺が正しい。貴様は敗れたのだ」
「グッ・・・・・・」
三影は言い返そうとする。だが言葉が無い。
「言うか、ならば」
再び変身しようとする。だが出来なかった。
「無駄だ、今の貴様は立っているだけでやっとなのだからな」
ゼクロスはそれを見て言った。
「最早残された時間も少ない。潔くしたらどうか」
「クッ、言うな・・・・・・」
それでも変身しようとする。身体が黄色と黒の毛に覆われようとする。その時だった。
「もう良い、そなたは充分闘った」
不意に何処からか声がした。
「その声はっ!?」
ゼクロスも三影もその声を覚えていた。
「三影、いやタイガーロイドよ」
二人の前に金と銀に輝く身体を持つ男が現われた。
「暗闇大使・・・・・・」
二人は
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