十番目の光
[6/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
・・・いい加減にしろ、それ以上言うとただでは殺さんぞ」
「その残忍さこそそうだ。貴様は人間の醜い心の持ち主だ」
「おのれっ!」
タイガーロイドは怒りを爆発させた。そしてゼクロスに襲い掛かる。
「・・・・・・・・・」
タイガーロイドの顔が迫る。ゼクロスはそれを黙って見ていた。
「・・・・・・醜いな」
「ほざけっ!」
それは単に彼の顔を見て言ったのではなかった。彼の顔に映し出される彼の顔を見て言ったのだ。
「・・・・・・俺もこの男の事は言えないな」
ゼクロスはふと呟いた。
「憎しみに捉われていてはな」
彼はつい先程までの憎しみに捉われていた己が心を思い出した。
「おそらく俺もあんな顔だったのだろう」
タイガーロイドの怒りに満ちた顔を見ながら呟く。
「ならば今その憎しみを消し去ろう」
彼はそう言って身構えた。
「行くぞっ、三影英介、いやタイガーロイドよ!」
彼はそう叫び前へ突進した。
二つの拳が交差した。激しい衝撃が辺りを覆う。
「グッ・・・・・・」
タイガーロイドの右の拳が砕けていた。腕は潰れ機械の骨が剥き出しになっている。
「それが貴様の機械の身体か」
ゼクロスはその砕けた拳を見て言った。
「たとえ身体が違えど貴様の驕りは変わらん」
「まだ言うかっ!」
タイガーロイドは左の拳を繰り出そうとする。思いきり振り被りゼクロスの顔へ向けて振り下ろす。
しかし遅かった。彼は怒りのあまり感情をその拳に込めてしまった。余計な力が入ってしまっていた。
ゼクロスはその拳を冷静に見ていた。そして己が右手を動かした。
拳が受け止められた。ゼクロスはそれを握り締める。
「グオオッ!」
タイガーロイドが叫んだ。ゼクロスは彼の拳を握り潰したのだ。
「生憎だが接近戦は苦手なようだな」
「何を・・・・・・」
「貴様はその背にある砲こそが最大の武器。だがそれに頼るあまり近距離戦を疎かにしていた」
「クッ・・・・・・」
その通りであった。彼は自身の背にある砲の力を過信するあまり接近戦を軽視していたのだ。
「驕りたかぶる者は必ずその驕りによって滅ぶ。人がそうであったようにな」
「糞っ・・・・・・」
反論出来なかった。だが彼の言葉を認めたわけではない。
「それを知るんだ」
ゼクロスはそう言うと彼を上空へ放り投げた。
「喰らえっ!」
彼も跳んだ。そしてその背に蹴りを放つ。
「ゼクロスキィーーーーーック!」
その全身が赤く光った。そして全身に凄まじい力がみなぎる。
その力を右足に集中させた。そして渾身の蹴りをタイガーロイドの背に放った。
「グハッ!」
怪人はその蹴りを受けて絶叫した。口から血を噴き出す。
背の砲身がミシミシと音を立てる。破損していた。
ゼ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ