十番目の光
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「それは貴様が生き残ってならば話そう」
そう言うと後ろへ跳んだ。
「ムッ」
ゼクロスはそれを追おうとする。しかし村雨はそれより早く動いていた。
「無駄だ」
彼は指令室へ入る扉の向こうにいた。そしてその扉を閉めた。
「クッ」
ゼクロスはそれを打ち抜こうとする。だが適わなかった。
「その扉は特殊な金属で出来ている。如何に貴様といえど一撃で打ち抜くことは出来ない」
遠くで三影の声がした。
「もうすぐこの貴地は爆破される。それから逃れられた時俺は貴様の相手をしてやろう」
その声には明らかに挑発の色が込められていた。
「来い、貴様ならばその程度のことは何でもない筈だ」
声はそう言うと消えた。
「爆発か・・・・・・」
ゼクロスは呟いた。
「そしてこの扉は容易には打ち抜く事は出来ない」
扉を見て言った。
「ならば・・・・・・」
彼は念じた。それに呼応して何かが向かっていた。
奇巌山は爆発した。火山の様に煙と炎を噴き出す。
三影はそれを遠く離れた岩山の上から見ていた。
「時間通りか」
時計を見て呟く。そして煙草を取り出した。
「あの程度で死ぬ奴じゃない。おそらくすぐにでもやって来るだろう」
そう言って煙草を口にした。火を点ける。
「その前に一服とするか」
煙草から口を離し煙を吐く。白い煙が息吹となり吐き出される。
一本吸い終えた。彼はそれを下に捨て足で踏んで火を消した。
黙って下に降りる。そこは岩山に囲まれた盆地となっていた。
「そろそろだな」
彼はそう言うと前に顔を向けた。
爆音が轟いてきた。前から一台のマシンが姿を現わした。
それはヘルダイバーであった。ゼクロスの愛車である。
「来たな」
彼はその上に乗っていた。そして彼の前に降り立った。
「約束通り来たぞ」
彼は三影に対して言った。
「ああ、思っていた時間通りだ」
三影は落ち着いた声で言った。
「戦う前に言う事がある」
ゼクロスは三影を見据えて言った。
「何だ!?」
彼は問うた。
「訓練の時のことは礼を言おう」
「・・・・・・・・・」
三影はそれに対して沈黙している。
「俺の危機に来てくれてな。そのことは感謝している」
「・・・・・・別にそんなこと気にしてもいなかったがな」
三影は落ち着いた声で答えた。
「同志を助けるのは当然だ。それがバダンの鉄の掟の基となっているのだからな」
「・・・・・・・・・」
今度はゼクロスが沈黙した。
「選ばれし我等が同志達は何があろうと救う、それがバダンの鉄の規律の最も重要なものの一つだ。そして・・・・・・」
彼は言葉を続けた。
「あと二つある。まずは首領への絶対の忠誠、そして最後に・・・・・・」
三影の目が光った。
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