甦りし記憶
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あくまでそう言われるのですね」
ヤマアラシロイドは背中から一本の槍を引き抜きながら言った。
「そうだ、俺は貴様等をこの世から消し去ってやる。姉さんの仇をな」
彼はその緑の目を憎しみで燃え上がらせていた。
「フフフ、そうですか」
ヤマアラシロイドは笑いを止め天井から離れた。そして床に着地した。
「ならば仕方ありませんね。貴方にはここで死んでもらいましょう」
彼はその槍を構えた。戦闘員達がその左右に散る。
「そしてその身体だけ持ち帰ります。脳は完全に破壊して差し上げます」
「そうはさせん」
ゼクロスも構えを取った。両者は激しく睨み合った。
ヤマアラシロイドが槍を投げた。ゼクロスはそれを上に跳んでかわす。
「甘いですよ」
攻撃はそれだけではなかった。槍は次々と放たれる。
「この程度っ!」
ゼクロスはそれをことごとくかわす。だがそれも限度がある。次第に追い詰められていった。
「さあ、どうします!?」
ヤマアラシロイドは両手に槍を構えて彼に問うた。
「もう後がありませんよ」
それはまるで狩りを楽しんでいるような声だった。
「・・・・・・・・・」
ゼクロスはそれに対して答えない。それどころか構えさえ解いた。
「フフフ、観念しましたか」
ヤマアラシロイドはそれを見て再び残忍な笑みを浮かべた。
「ならばせめて苦しまずに死なせてあげましょう」
両手の槍をゆっくりと振り上げた。
「ゼクロス、逃げろ!」
伊藤博士が叫ぶ。だが彼は動こうとしない。
槍が放たれた。ゼクロスはそれを黙って見ている。
槍が貫いた。その瞬間ヤマアラシロイドは勝ち誇った笑みを浮かべた。
「これでよし」
彼は言った。博士の顔は絶望に覆われた。
だがそれは一瞬であった。槍に貫かれたゼクロスの身体からは血も流れず破損もなかった。
「なっ!?」
ヤマアラシロイドはそれを見て驚愕した。その直後ゼクロスの身体は急にかすんでいった。
「しまった、ホノグラフィか!」
ヤマアラシロイドは思わず叫んだ。そして辺りを見回す。
「無駄だ」
ゼクロスの声がした。
「そこかっ!」
槍を引き抜き投げる。だがそこにはいなかった。
「俺はここだ」
再び声がした。それは前だった。
「ちいっ!」
槍を手に取り振るった。そこにゼクロスの姿が浮かび上がってきた。
だがそのゼクロスもまた幻影であった。彼の姿は闇の中に掻き消えた。
「おのれっ、何処だ!」
彼は必死に屋敷の中を見回す。だがゼクロスの姿は何処にも無い。
不意に前に複数の影が現われた。それは全てゼクロスであった。それは横にも後ろにも現われた。
「分身の術か」
ヤマアラシロイドはそれを見て悟った。戦闘員達が四方に散る。
「安心しなさい。一つ
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