甦りし記憶
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「よくぞ戻って来ました、歓迎しますよ」
ヤマアラシロイドは彼に対し微笑んだ。それは獣の様な笑みであった。
村雨は右手をゆっくりと上げる。彼はそれを微笑みながら見ていた。
だがその微笑みはすぐに凍りついた。右手が彼の喉を掴んだのだ。
「ナッ!?」
彼は予想もしなかったその動きに狼狽した。村雨が顔を上げた。
「記憶を取り戻す事が出来た。感謝するぞ」
彼の顔を見て言った。
「クッ、精神が崩壊したのではなかったのか・・・・・・」
ヤマアラシロイドは苦悶の表情で彼を見下ろして言った。
「生憎な。俺の精神はそれ程ヤワじゃないらしい。一度崩壊してかなり強くなったようだ」
右手に力を入れる。それは人の力ではなかった。
それに掴むヤマアラシロイドを思いきり投げ飛ばした。怪人は壁に叩き付けられた。
「ガハッ・・・・・・」
口から血を吐いた。しかしそれでも立ち上がる。
「何もかも思い出した。俺の姉さんのこともな」
村雨はその彼を怒りに満ちた目で見ていた。
「姉さんを殺し俺をこんな身体にしたバダン・・・・・・」
彼はゆっくりと身構えた。
「許せん!必ず叩き潰してやる!」
そう言うと両手を動かしはじめた。
変・・・・・・
右手を真横にしそこから四十五度上げた。そして左手はそれと水平に右脇のところで置く。両手は共に伸ばしている。
身体を赤と銀のバトルボディが包んだ。手袋とブーツが銀色のものになる。
・・・・・・身
右手をそのまま右脇の方へ持って行き左手は逆に左斜め上へ持って行く。
それから左手はすぐに左脇に入れ右手を左斜め上へ突き出す。すると腰にベルトが現われた。
顔の右半分を赤いマスクが覆う。そして左半分も覆われる。ベルトが光った。
光が全身を覆う。そこにはゼクロスがいた。
「貴様だけは許さん!」
そう叫びヤマアラシロイドへ突き進んで行く。
「クッ!」
起き上がった怪人はそれを受け止めた。激しい衝撃音がその場に響き渡る。
「変身するとは・・・・・・」
「思い出したのだ。貴様のおかげでな」
村雨、いやゼクロスは怒りに満ちた声で言った。
「貴様だけは許さん・・・・・・」
その両肩を掴むと天高く放り投げた。
「許す!?」
ヤマアラシロイドはその言葉に対し冷笑でもって答えた。そして天井を掴んだ。
「それは奇妙な言葉だ」
彼はそこに逆さに立ちゼクロスを見下ろして言った。
「それはどういう意味だ」
ゼクロスはそれに対して問うた。
「許すなどという言葉はバダンにはありませんからねえ」
彼は口を耳まで裂けさせて笑った。
「少なくとも同志以外には」
「言った筈だ。俺は貴様等の同志ではないと」
彼は毅然とした声で言い返した。
「そうですか、
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