甦りし記憶
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ですよ、死んでいます」
ヤマアラシロイドは冷酷な声で言い放った。
「そして貴方の心もね」
彼は村雨を見下ろして言った。
「あ、あ、あ・・・・・・」
その通りだった。彼は両目から涙を流し激しく打ち震えている。
「うおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっ!」
彼は絶叫した。そしてそのまま意識を失った。
「成功ですね」
ヤマアラシロイドは彼を見下ろしてほくそ笑んだ。
「記憶と感情を消し去るにはまずその心を壊す事。いつもながらよく利きます」
彼は笑みを浮かべたままそう言った。
「連れて行きなさい。後は脳に少し細工をするだけです」
黒い男達は敬礼した。そして村雨を引き摺り何処かへ消えていった。
それからであった。彼はバダンの幹部候補生として訓練を受けた。軍服に身を包み生死を賭した訓練を続けた。
「御前が村雨良か」
ある日彼に語り掛けて来る男がやって来た。
「誰だ御前は」
訓練の合間の束の間の休息をとる彼はふと顔を上げた。
「三影。三影英介という。御前と同じバダンの幹部候補生だ」
そこにいたのは彼と同じ軍服に身を包んだリーゼントのアジア系の若者であった。
「そうか。何処かで見たと思ったが」
村雨は彼の顔を見て言った。
「御前の訓練のパートナーに選ばれた。よろしくな」
三影はそう言って右手を差し出した。
「こういう場合はどうするのだ」
村雨はその右手を見て言った。
「そうか。御前はあれだったな」
三影も彼のことは聞いていた。微笑んでその右手を引っ込めた。
「これから宜しくな」
彼は挨拶するだけに留めた。
「ああ」
それが二人の出会いであった。それから二人は共に訓練を受けた。
ある日だった。野戦の訓練を受けている時であった。
砲撃が村雨を次々と襲う。彼はそれを巧みにかわしていく。
「うむ、見事な動きだ」
訓練を総括するマシーン大元帥がそれを見て言った。
「このタイホウバッファローの砲撃を全てかわすとはな。元々はこの怪人をインドへ送る前のテストも兼ねてのことだったが」
そう言って後ろで砲撃を続ける怪人の方を振り返った。
「まだ物足りないようだな。カメバズーカも加えるか」
そう言うと右手を挙げた。後ろにカメバズーカが現われた。
砲撃は倍になった。だが村雨はそれもすべてかわしていく。
訓練は終了した。マシーン大元帥は村雨と二体の怪人を下がらせた。
「よし、次は三影の番だな」
バズーカ砲を手にした戦闘員達が後ろに現われた。そして砲撃を開始する。
その時村雨は待機場所に戻ろうとしていた。そこへ戦闘員の一人が間違って砲撃を加えてしまった。
「しまった!」
戦闘員は叫んだ。だが遅かった。砲弾は真直ぐに村雨は向かっていく。
「ムッ!?」
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