甦りし記憶
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たな」
結城が顔を少し下に向けて言った。
「ああ。あそこが一番怪しいというのにな」
一文字も口惜しそうに言った。彼等の脳裏にあの時の戦いの記憶が甦る。
「しかし伊藤博士は何故今までその事を黙っていたんです?」
沖が問うた。
「どうもまだあそこにいるとは思わなかったらしい。ゼクロスがあそこへ向かうまではな」
「そうか、ゼクロスはバダンに改造されたからな」
筑波が顎に手を当て思案しながら言った。
「何か感じるものがあるのでしょうね。だから連中が何処にいるのかもわかる」
神が言った。
「アマゾンそれわかる。野生の勘に似てる」
「アマゾンの言う通りかもな。多分バダンの本拠地は奇巌山にあるぞ」
店の奥にいた谷が言った。
「たとすれば決まりだな。御前等全員行くんだろう」
「当たり前ですよ、おやっさん」
城は立花の言葉に対し笑顔で答えた。
「俺達ライダーは悪のあるところに行く。そして悪を討ち滅ぼすのが使命」
「その為なら火の中水の中」
本郷と一文字が言った。他のライダー達はそれに従うように立ち上がった。
「行こう」
九人のライダー達は店を出た。そして一斉に出撃した。
爆音が遠くへ消えて行く。立花と谷はそれを店の中で黙して聞いていた。
「・・・・・・元気な顔で帰って来いよ」
爆音が消えた時二人は言った。戦士達は再び戦場へ向かった。
「そうか、あいつが来るか」
三影は地下の奥深くで戦闘員からの報告を受けていた。
「ハッ、こちらへ一直線に向かって来ております」
戦闘員は敬礼をして答えた。
「そうか。残念だが遅かったな」
彼はその報告を聞きニヤリ、と笑った。
「暗闇大使はもう行かれたな」
彼は戦闘員に背を向けて問うた。
「ハッ、今ソウルにおられるとのことです」
「ソウルか。思ったより速いな」
彼はそれを聞き背を向けたまま言った。
「ところでヤマアラシロイドはどうなった」
「回収いたしました。他の改造人間と同じく再改造が為されるとのことです」
「そうか。なら問題はない。これで全員揃った」
彼はそう言うとサングラスを取り外し不敵な笑みを浮かべた。
「撤退は順調に進んでいるな」
「はい」
「ならば良い。御前達もすぐにこの日本を離れろ」
「えっ、しかし・・・・・・」
戦闘員はその言葉に口籠もった。
「心配する必要は無い。ゼクロスはこの俺が必ず仕留める」
三影は不敵な笑みを浮かべたまま戦闘員に対して言った。
「俺の力、今こそ見せてやろう」
彼はそう言うとその地下の洞窟を後にした。
光る苔があった。それが彼の姿を照らす。
陰も映し出された。その影は猛獣のものであった。
甦りし記憶 完
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