記憶の欠片
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ける。だがヤマアラシロイドはそれには動じない。
「少し騒音がしますね」
そう言うと戦闘員の二三人に目配せをした。
「音を小さくして下さい」
戦闘員達はその言葉に従った。すぐに博士を取り押さえた。
「離せ、離すんだ!」
博士は必死に振り解こうとする。だが出来なかった。
「暫く大人しくしていて下さい」
ヤマアラシロイドはその場に不似合いな程落ち着いた声で言った。
「そしてこれから起こる奇跡の観客になって下さい」
彼は目を細めて言った。笑っている。だがその目には残忍な光が輝いていた。
戦闘員達が一斉にロープを放った。村雨を捉えようとする。
「ムッ」
村雨はそれに対し上に跳んだ。そして何なくかわした。
「無駄ですよ」
ヤマアラシロイドはそれを見上げて言った。そこに数本のロープが襲い掛かる。
それが村雨を捉えた。彼は為す術もなく捉えられた。
そして地に落ちる。彼はがんじがらめに縛られた。
「それでは始めますか」
ヤマアラシロイドは槍を右手にかかげながら村雨の方へ歩み寄って来た。
「奇跡を起こしましょう」
彼はそう言うと槍を大きく上げた。
「博士ならご存知ですね。人間の脳というのは多くの謎があると」
彼は村雨に顔を向けたまま言った。
「それがどうした」
博士は忌々しげに言った。
「その機能の殆どが使われていない。それでいて人間の動きの中で最も重要な役割を果たしているのです」
彼は無機質な声で語った。
「ですがバダンは違う」
彼はそこで言葉に笑みを含ませた。
「その機能を完全に引き出す術を知っているのです」
彼はそう言うと顔も笑わせた。
「それが貴様等の優位性を示しているとでもいうつもりか」
村雨はヤマアラシロイドを見ながら言った。
「まさか。それはバダンの力のほんの一部に過ぎませんよ」
ヤマアラシロイドの声には嘲笑も含まれていた。
「ですが今はそれを使います。貴方をバダンに戻す為に」
そう言うと槍を村雨の頭に向けた。
「まさか・・・・・・」
博士はそれを見て全てを悟った。
「止めろ、彼は頭脳は人間のままなんだ!」
彼は叫んだ。
「わかってますよ」
ヤマアラシロイドはそれを聞きながら哂った。
「だからこそするのです」
彼はそう言うと槍をゆっくりと動かし始めた。
「さあ、いいですか」
彼は村雨を見下ろして言った。
「今から貴方の望みを叶えて差し上げましょう」
槍が村雨の頭に突き刺さった。
「痛くはありませんよ。痛覚が無い部分ですからね」
槍はゆっくりと入っていく。
「そして次第に甦っていきます」
槍は脳に達した。
「記憶が」
彼はそう言うとゾッとする化け物のような笑みを浮かべた。
村雨の脳の中を槍が侵
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