暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
記憶の欠片
[8/14]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
なのだ」
「暗黒の・・・・・・」
「あの男が言った力が支配する世界とはそれなのだ。バダンとそれに従う者達だけが生きる世界なのだ」
 博士は三影の事を脳裏に浮かべながら村雨に対して言った。
「そうなっては何もかもが滅びるのだ。街も人も自然もな」
「街も人も・・・・・・」
 それを聞いて村雨は朝に見た街を歩く人達を思い出した。
「そうだ、その全てが破壊されるだろう。そしてその後にバダンの者達がその野心を築くのだ」
「野心か。それにより築かれるものは何だ」
「地獄だ」
 博士は簡潔に、だが忌々しげに言った。
「ショッカーからそうだった。力ある者だけが生き、そうでない者は力ある者の糧となる。それはまさに地獄だ」
「地獄なのか」
「そうだ、それは人の世ではない。悪夢の世界だ。わかるだろう、君が何故戦わなくてはならないかを」
「ああ」
 村雨はその言葉に頷いた。
「やれやれ、我等の同志にその様な戯言を吹き込まれては困りますな」
 不意に声がした。
「その声はっ」
 村雨はその声の主を覚えていた。屋敷の中を見回す。
 窓のところだった。黒いシルエットが浮かんでいる。
「貴様は」
 その影は答えようとしない。指でもってガラスを切った。
 ガラスは下に落ちた。音を立てて割れる。
「暫くぶりですね、ゼクロス」
 彼は窓のところに立っていた。村雨と博士を見下ろして微笑んでいる。
「貴様、一体何をしに来た」
 博士は彼を見て言った。
「決まっていますよ、彼を迎えに来たのです」
 下に飛び降りて来た。片膝を着き着地し立ち上がると博士の方を見て言った。
「バダンの理想世界を築く為にね」
 そう言うと口の両端を吊り上げた。その口が耳まで裂ける。
「言うなっ、この世に破滅をもたらそうとする輩が!」
 博士は彼に対して叫んだ。しかし彼は一向に怯まない。
「所詮貴方はその程度なのです。人に留まっていればそれでいいというね」
 彼は皮肉を言った。
「貴様等の様に心まで人でなくなる位なら今のままの方がどれだけマシか・・・・・・」
 博士は歯を噛み締めて言った。
「聞き分けの無い方だ。しかしそれはいい」
 彼はそう言うと左手を下へ向けて振った。すると博士の足下に一本の槍が突き刺さった。
「グッ・・・・・・」
 それはトゲであった。ヤマアラシの背にあるトゲの巨大なものだ。
「私は貴方には何の興味も無いのですからね。いずれ弱き者として無様に死んでいく運命なのだし」
 そう言うとゼクロスへ顔を向けた。
「私が用があるのは貴方なのですし」
 ニヤリ、と笑った。
「前にお話したことへの返答を聞きに来ました。どう為されます?」
「・・・・・・・・・」
 ゼクロスはヤマアラシロイドを見た。表情は無表情のままである。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ