記憶の欠片
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!?」
村雨はその言葉に突っ込んだ。
「そうだ。何度も言ったが君が憎悪の心に捉われるのが。それにより狂うのが」
彼はこの時自分が何を言ったのか悟ってはいなかった。何が起こったのかを言ってしまったのだ。
だが村雨はそれに今の時点では気付かなかった。記憶を持たない彼にはわからなかったのだ。
「・・・・・・また憎悪か」
彼はその言葉を聞くと言った。
「憎しみは俺も知っている。だが何故それにこだわる!?人ならば誰もが持っている嫌悪の一つではないのか」
「・・・・・・そう考えているのならそうでいて欲しい。何時までもな」
博士は忌むような声で言葉を出した。
「どのライダーも乗り越えられた。それは記憶と感情が充分にあったからだ。しかし今の君では・・・・・・」
「それに支配だれる、というわけか」
「・・・・・・・・・」
「それに支配された時俺はどうなるのだ?まさか兵器に戻るのか!?」
「いや、それはない」
「それでは問題無いのではないのか」
「・・・・・・兵器などより怖ろしい、『鬼』になってしまうのだ」
「『鬼』!?」
村雨はそれを聞いて声をあげた。
「鬼というのは童話なんかに出て来るあれか?人を襲い悪事を働く」
「・・・・・・違う、私が言うのは憎しみのままに拳を振るう心を失くした戦士のことなのだ」
博士は俯きながらも遠くに何かを見つめる目で言った。
「そうなった時、君は正義の戦士ではなくなる。君はライダーでなくなるのだ」
「しかしどのライダー達も憎悪に心を捉われていたのではなかったのか?」
村雨は問うた。
「そうだ。そういう意味でも君と彼等は同じなのだ」
博士はそう言うと顔を上げた。そして遠くを見る。
「彼等もそれを乗り越える為に苦しんだ。苦しみ抜いた。・・・・・・その苦しみはおそらく私にはその百分の一もわかってはいないだろうがな」
彼はそう言うと哀しい目をした。
「君にはあの苦しみを経験して欲しくはないのだ。あまりにも孤独で辛い苦しみなのだから」
「・・・・・・そうか。それは俺の事を思ってのことなのか」
「そうだ。君は焦ってはいけない。少しずつ記憶を取り戻してくれ。そして機が来たならば全てを話そう。君の姉さんの事を」
「わかった」
村雨は頷いた。そして二人は屋敷を後にした。博士が食事に誘ったのだ。
三影は湘南で村雨との話を終えると基地に戻った。
無言で指令室に向かう。そこにはヤマアラシロイドがいた。
「何処に行っていたのです!?」
彼は顔を顰めて詰問した。
「ゼクロスと会ってきた」
彼は言い逃れも嘘も言わなかった。
「どういうつもりですか!?」
それを聞いたヤマアラシロイドは彼を睨んだ。目の光が赤くなる。
「・・・・・・別に。戦ったわけでもない。ただ単
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