記憶の欠片
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そしてバダンに所属させられたのだ」
「あの軍服を着てか」
彼はふとあの軍服を思い出した。
「そうだ。だがそれは君が本来の心を持っていない状態でだ。気にすることはない」
「そうか。では俺はこれまで通りここで記憶を取り戻していけばいいのだな」
「そうだ。それが君の今為すべきことなんだ」
「そうか。ならいい」
村雨はその言葉に頷いた。
「では力こそ正義というのも気にしなくていいのか」
「あの男、まだそんな事を言っているのか・・・・・・」
博士はそれを聞くと顔を顰めた。
「そうだ、あの男は自らの権力欲や選民思想を性悪論や力への信仰で理論武装しているに過ぎないのだ。あの男は自分が思っているような偉大な人物ではないのだ」
彼は忌々しげに言った。
「どんなに自分が素晴らしいと思っていても所詮は何かにすがりそれをたてに他の者を見下しているに過ぎないのだ。それがわからない、いやわかろうともしない愚か者なのだ。あの男の実態はそうした薄っぺらなものでしかないのだ」
「薄っぺらなのものか」
村雨はそれを聞いてその言葉を口に出した。
「そうだ、あの男の考えはそんなものだ。君もすぐにわかる。あの男の愚かさ、根拠の無さが。君はあのようにはならないでくれ、いや君の運命はそうした者を倒すものなのだ」
「そうか。それもいずれわかるのか」
「そうだ、その時ライダーの事を考えるんだ。あの男と彼等の違いを」
「・・・・・・わかった」
村雨はその言葉に答えた。博士はそれを見て表情をほんの少しだけ明るくさせた。
「だがもう一つ聞きたい事がある」
村雨は博士を見たまま言った。
「あの男は俺の姉さんについて言った」
「・・・・・・・・・」
博士はそれを聞くと顔をさらに暗くさせた。
「あの男は姉さんをもう死んだと言った。それは本当なのか?」
「・・・・・・・・・」
博士はそれに答えようとしない。顔を再び俯けてしまった。
「どうしたのだ、知らないのか?」
村雨はそんな彼に対し問うた。
「・・・・・・知っている」
博士は振絞る様な声で言った。
「そうか。なら教えてくれないか」
「・・・・・・あの男からは聞いていないのか?」
「?何も。死んだとだけしか聞いていないが」
「そうか。あの男が何を考えているのかまではわからないが」
博士は暗い顔のまま言った。
「済まない。私にも今は言う事が出来ない」
博士は村雨から視線を逸らして言った。
「何故だ!?」
村雨はそんな彼に対して問うた。
「・・・・・・・・・それも何れわかることだとだけしか言えない」
博士は言った。
「またか。どうやら何か重要な秘密があるようだな」
村雨はそれを見て言った。
「・・・・・・そうだ。君がそれを知った時が怖いのだ」
「怖い
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