記憶の欠片
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とりとめたが瀕死の重傷で身体の殆どが傷ついていた。バダンはその御前に改造手術を施したのだ」
「そうだったのか。だから俺はゼクロスに・・・・・・」
「そして俺も同時に手術を受けた」
彼は静かに言った。
「そうか、だから御前の右眼は機械なのか」
「右眼だけではいない。今の俺は全身が機械だ。脳以外はな」
彼は言葉を続けた。
「今の御前と同じようにな。俺と御前は同じなんだ」
「同じ・・・・・・・・・」
「そうだ、だからこそ聞くんだ。記憶が戻っているのかどうかな」
「・・・・・・・・・聞いてどうする」
「わかっている筈だが」
彼はニヒルに笑って言った。
「即答しろとは言わない。だが俺と共に来い。そして理想の世界を築くんだ」
「強い者が支配する世界か」
「そうだ、力こそが絶対だ。それこそが正義だ。弱いものはそれだけで悪なのだ。生きている価値すらないものなのだ」
彼は煙草を消し再びサングラスを取り外して言った。
「同じ者として聞く。バダンに帰る気は無いか?」
「・・・・・・・・・戻ったらどうなる。また兵器になるのではないのか」
「それがどうした?俺達は理想の為になら喜んでこの身体と命を捧げると誓ったのではないのか?」
彼は人間の形のままの左眼で村雨を見て言った。
「それを思い出せ。それこそが御前が取り戻すべき記憶なのだ」
「俺が取り戻すべき・・・・・・」
村雨は呟く様に言った。
「そうだ、伊藤博士が何を言っているのかは大体予想がつく。だがそんなものはまやかしに過ぎぬ。御前はバダンでバダンの為に戦う為に生まれたのだからな」
「・・・・・・では俺の姉さんは何なのだ」
彼は反論するでもなくポツリ、と問う様に言った。
「姉!?ああ、あの女か」
彼は口の端を歪めて言った。
「知っているのか!?」
村雨は問うた。
「当然だ。この目で見たのだからな」
彼は笑みを浮かべ続けている。
「その目で見た・・・・・・。ならば俺の姉さんはどういう人なのだ!?そして今どうしているのだ!?」
彼は表情は変わらないが語気を少し荒立たせて問うた。
「・・・・・・知ってどうする」
三影は冷たい声で言った。
「俺の只一人の家族だったという、姉さんの事が俺の記憶の最も大切なものかも知れないんだ」
「・・・・・・そうか」
彼はそれを聞くとサングラスを再びかけた。
「知っているんだな!?」
「・・・・・・ああ」
彼は答えた。
「では答えてくれ」
「・・・・・・いいのだな」
三影は彼に対し念を押す様に言った。
「何!?」
村雨はそれを聞いて少し驚いた。
「本当に知っていいのだな、と言っているんだ」
彼は再び念を押す様に言った。
「当然だ」
村雨は答えた。
「・・・・・・よし、では
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