失われた記憶
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か」
そう言うと煙草を取り出しそれに火を点けた。そして煙をくゆらせながら屋敷を見る。
「どうするつもりか知らんが拝見させてもらうか。怪人軍団長の戦い方をな」
彼も煙草を吸い終わるとその場から消え去った。後には誰もいなかった。
村雨はベッドから起きた。見ると海から朝日が昇ろうとしている。
「朝か」
彼はベッドから出た。そしてトランクスの上にジーンズを履き上にシャツを着た。
下に降りキッチンに入る。そしてパンを取り出しそれにマーガリンを塗って口に入れる。
ゆで卵があった。それも食べた。
そして最後に紅茶を飲む。あのティーカップでだ。
「これからどうするかだな」
紅茶を飲み終え彼は考えた。とりあえず屋敷から出た。
庭を歩き回った後ガレージに入る。特に何かがあってのことではない。気が向いたからである。
そこにはヘルダイバーが置かれていた。どうやら伊藤博士が運び入れてくれていたらしい。
「相変わらず気の利く人だな」
無論変身前であるからその形状は普通のバイクと変わらない。村雨はガレージを開けるとそれに乗った。
「少し外に出るか」
ヘルメットを被りエンジンを入れた。そして走りはじめた。
道はまだ誰もいない。しずかな朝の道に彼のバイクだけがある。
左手には海が見える。朝日に青い海が照らされている。
「綺麗だな」
村雨はそれを見てふと呟いた。そこに見える海がとても美しく思えた。
街に出る。人々は活動を今はじめようとしている。
海には漁船がある。店ではおじさんやおばちゃんが品物を出している。その側を新聞配達の兄ちゃんが自転車で走り抜けていく。
そして学生やジョギングをするおじさん、犬を連れる老人がいる。皆それぞれの表情で街の中を歩いている。
「・・・・・・・・・」
村雨はそれを黙って見ていた。見ていると何故か心が和んだ。
「不思議だな」
村雨はポツリ、と呟いた。
「この人達を見ていると穏やかな気持ちになれる。丁度子犬を抱いた時もそうだったかな」
ふとあの時のことを思い出す。
「こうした風景を見るのはいいものだな。また明日もここに来るか」
そう言ってバイクのエンジンを入れた。
道を一台のバイクと擦れ違う。その時乗っている者が手で挨拶をしてきた。
「?あ、ああ」
村雨もそれに返した。これも悪い気はしなかった。
「これから朝はこうして街に出てみるか」
家に帰るとそう思った。そしてバイクをガレージに入れると屋敷に入った。
「?」
中に入って妙な気を感じた。中に誰かいるのだ。
「博士か!?」
違った。博士にしては気が禍々しい。何処か刺す様な気だ。
「お邪魔していますよ」
そこへ一人の男が出て来た。
「御前は・・・・・・」
見覚えがあった
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