失われた記憶
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目は何かを合わせていた。冷たい光がそこに宿る。
「いっそ一思いに・・・・・・」
心の無い右目とは対照的に左目に憤怒の光が宿った。その時だった。
「お待ちなさい」
後ろから誰かがやって来た。
「あんたか」
三影は後ろを振り返って言った。そこにはヤマアラシロイドがいた。
「暗闇大使からのご命令は生かして連れ戻せ、とのことです。無闇に攻撃をしてはいけませんよ」
「ほう、であんたは俺にそれを命令する権限があるのか?生憎俺はあんたの仲間じゃないぜ」
三影は右目で彼を見て言った。
「今回の作戦は私が責任者です。そして貴方は私の指揮下に入ることとなりました」
「それは暗闇大使からの指示か?」
「はい。何なら直接確かめますか?」
ヤマアラシロイドは三影に微笑みながら言った。
「いや、いい。ならばそれに従おう」
彼はそれに対し素直に従った。
「その方が作戦もスムーズにいくしな」
「感謝します、素直に従って頂いて」
「フン、だからといって俺があんたを嫌っていないというわけではないがな」
そう言ってサングラスを再びかけた。
「おやおや、それはそれは」
だがヤマアラシロイドはそれを笑って聞き流した。
「そして俺は何をすればいいいんだ。別働隊を率いるのかそれともあんたを支援するのか」
「いえ、貴方はまずは待機しておいて下さい」
ヤマアラシロイドは彼の顔を見て言った。
「何、どういう事だ!?」
これには三影も眉を顰めた。
「ゼクロスの相手は私一人で大丈夫だからです」
「大した自信だな。九人のライダー達もこの近くにいるというのに」
「ライダー?それがどうしたというのです?」
彼はそう言うと口を開けて笑った。尖った歯が見えた。
「バダン怪人軍団のリーダーであるこの私が彼等に遅れをとるとでも。口は慎んで頂きたいですね」
彼は口を閉じた。
「それに」
そして再び語りはじめた。
「彼等には既に手を打ってあります。当分動けないでしょうね」
「一体何をした!?」
三影はそれに対して問うた。
「いや何、城南大学にいる海堂博士達に戦闘員達を送り込んだのですよ。陽動にね」
「そしてライダー達の目をそちらに向けさせたのか」
「はい。数だけは大量に送り込みましたからね。おそらくそちらに気を取られこちらには当分来ないでしょう」
「だが戦闘員なぞ精々数日も引き付けられれば上出来だぞ。そんなものが通用するのか」
「数日あれば充分ですよ」
彼は笑って言った。
「そう、数日あればね。その間にゼクロスは我が手に落ちます」
「そうか、ではその作戦を高見の見物とさせてもらおうか」
「どうぞ。私は止めませんよ」
ヤマアラシロイドはそう言うとその場から姿を消した。三影はそれを無言で見送った。
「数日で
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