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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
失われた記憶
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は改めて畏まった。
「今は攻撃は控えよ。いずれ時が来るまで待て」
「おや、まさか私がライダー達に遅れを取るとでも?」
 彼はそう言って微笑んだ。
「今彼等は一箇所に集まっております。一網打尽にする絶好の機会かと」
「それはそうだがそれではゼクロスまで傷付けてしまう。わしはあの男の身体が欲しいのだ」
「つまりバダンに連れ戻すと」
「そうだ。そして今もう一人呼んである。攻撃を仕掛けるのはその男と合流してからでも遅くあるまい」
「あの男ですか」
 ヤマアラシロイドの顔が一瞬ピクッ、と引き攣った。
「そうだ。それならば作戦はよりやり易くなるだろう」
「ええ」
 彼はあの男を快く思ってはいなかった。その為内心では不満があるのだ。
「不服か?」
 それは暗闇大使も察していた。
「いえ」
 彼はそれを否定した。だがそれは本心を隠しただけで不満を否定したものではなかった。
「安心しろ。作戦の指揮はそなたに委ねる。あの男にもそれは伝えてある」
「それならば」
 一応承諾してみせた。だがまだしこりは残っている。
「では良いな。ゼクロスの件はそなたとあの男に任せる」
「ハッ」
 暗闇大使は姿を消した。ヤマアラシロイドはそれを見届けると頭を上げた。
「あの男か・・・・・・」
 彼はふと呟いた。
「腹の読めない男です。一体何を考えているか」
 そう言うと彼も姿を消した。そして後には何も残らなかった。

 村雨は目を覚ました。そして改造室を出て海堂博士達のいる研究室へ入った。
 そこには三人の博士達がいた。ライダーや立花達は席を外している。
「村雨君、君の身体だが」
 伊藤博士が口を開いた。
「俺の身体?」
 村雨は尋ねた。
「そうだ。この写真を見てくれ」
 彼はそう言うと先程ライダー達に見せたレントゲン写真を今度は本人に見せた。
「これが君の身体だ」
 博士はそう言うと彼の顔を見た。
「そうか」
 村雨は表情を変えずそれに答えた。
「驚かないのだな」
 海堂博士が言った。
「ああ。改造手術を受けたことはもう伊藤博士から聞いている。今更驚きはしない」
「そうか」
 海堂博士はそれを聞くと再び尋ねた。
「私の事は覚えてないかな」
「貴方は・・・・・・海堂博士だな。確か伊藤博士の友人の」
 彼は答えた。
「そうか。やはり記憶は完全に消されているな」
 彼は悲しさを込めた声で言った。
「覚えていないか。君のお父さんの友人だったのだが」
「俺の・・・・・・父?俺にも家族がいたのか!?」 
 村雨は逆に彼に尋ねた。
「そうだ。君のご両親は早くに亡くなっている。そして君はお姉さんと一緒に暮らしていた」
「姉さん・・・・・・俺には姉がいたのか」
「そうだ。それは次第に思い出していけばいい」

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