拳砕ける時
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て帽子の男を見る。
「中国拳法か。しかも小林拳だな」
突きや蹴りをかわし、受け止めつつ言う。受け止めながら冷静に分析している。
「それもかなり独自性が強いな。・・・・・・これはかなり名のある流派か」
仮面の男はそう言いながら発頸を繰り出した。だがそれは逆に彼の発頸に返される。
「ほほお、発頸の威力もあるな。精神修養にも力を入れているか」
帽子の男は回し蹴りを浴びせて来た。仮面の男はそれを後ろにステップしてかわした。
「この蹴りは・・・・・・赤心小林拳か」
仮面の男はそれを見て言った。
「だがあの流派はテラーマクロによって壊滅させられている。師範達も死んでいる筈だ。ただ一人だけ最強の使い手が残っているがな」
「・・・・・・・・・」
帽子の男はそれに答えようとしない。無言で手刀を出した。
「そう、その使い手の名は沖一也、またの名を仮面ライダースーパー1という」
仮面の男はその名を呼んだ瞬間高く跳躍した。
帽子の男もそれを追って跳躍する。二人の蹴りが交差した。
双方位置を入れ替えて着地した。男の仮面が割れた。帽子が千切れとんだ。
帽子の男の正体は予想通りであった。沖一也であった。
「うむ。噂に違わぬキレだな」
その中からあの男が姿を現わした。
「なっ、貴様は・・・・・・」
沖はこちらに振り向いてきた男の顔を見て思わず声を出した。そこには彼も名と顔を知る男がいた。
「現代中国拳法の最高の使い手リー=ホワンロン。何故ここに・・・・・・」
「ふ、生憎だが今の俺の名は違う」
リーと呼ばれたその男は不敵に笑って言った。
「今の俺の名はアメンバロイドという。誇り高きバダンの改造人間の一人だ」
「クッ、貴様バダンに入ったのか」
「そうだ。永遠に戦いこの拳を磨く為にな。まるで俺の為にあるような組織だ」
「貴様バダンが何を目的としているのか知っているのか!?」
「フ、勿論知っているさ」
リー=ホワンロン、いやアメンバロイドは沖の問いに対し皮肉っぽく笑って言った。
「世界征服か。実に素晴らしい思想だ」
「何っ」
沖はその言葉に眉を顰めた。
「強い者、選ばれた者が支配する世界。それこそ理想の世界ではないか」
うそぶく様に言う。
「支配する者とされる者、人はその二つしかない。ならば支配する者になるべきなのだ」
アメンバロイドは沖を見据えて笑った。
「俺はその支配する者なのだ。その俺にとってバダンはあまりにも魅力的な組織だ。それで充分だろう」
「クッ、その為に多くの弱い力を持たない人達が犠牲になってもか」
「そうだ。弱い者など生きる価値も無い。何故なら弱いという事はそれだけで罪なのだからな」
アメンバロイドは自分の言葉が無謬無きものであると確信していた。それは最早信仰であった。
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