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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
拳砕ける時
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「それはもう。おかげでこの拳が休まる暇がありません」
 男はそう言うと右手を掲げてみせた。細く、それでいて引き締まった手である。
「だがそれが貴様の本望ではないか?かって中国で伝説の闘神と呼ばれた貴様にとっては」
 暗闇大使はそう言うと男を見てニヤリ、と笑った。
「そうですかな。まあ確かにこの拳が今は満足していると言ってますよ」
 男はそれに対しとぼける様に言った。
「満足しているか。だがまだまだ物足りないのではないか?」
「確かに。しかしいずれライダーを倒すのですからな。今からその事を思うと楽しみではありますが物足りなくはないですな」
「ライダーを、か。そちらも期待しているぞ」
「お任せ下さい。いずれライダーもこの拳で屠ってやりますゆえ」
「ハハハ、上手くやれ」
 暗闇大使はそう言うとモニターから消えた。男は黒くなったモニターの画面を見てニヤリ、と笑った。
「ライダー、か。そのライダーかは知らんが」
 男は笑いながら言う。
「この俺の前に来るその時が最後だ。伝説の拳を見せてあの世に送ってやる」
 男はそう言うと暗闇の中に消えた。後には殺気だけが残っていた。

「さて、どうするかだな」
 沖はホテルの一室でチョロに対して言った。
「どうやらその男は夜にしか出ないみたいですね。そして夜道で勝負を挑むとか」
「夜、か」
 沖はふと窓を見た。もう真夜中である。
「その方が何かと便利だからな。だがそれはそれでやり易いな」
「やり易い、って何か考えてるんですか?」
「ああ、ちょっと耳を貸してくれ」
「はい。何ですか?」
 チョロはそう言うと沖の話を聞いた。聞いて彼は頷いた。
「それがいいですね。ありふれたやり方ですけど」
「ああ。ならやるか」
 二人は頷き合った。そして街へ出た。
 仙台のある大きなボクシングジム。その近くの道を歩く一人の男がいた。帽子を目深に被りジャケットを着ている。
「神崎信雄か」
 ふと彼を呼び止める声がした。
「だとしたらどうする?」
 男はその声に答えた。すると道の陰から一人の男が姿を現わした。
 拳法義を着ている。そしてその顔には中国の京劇で使われる面を被っている。赤と黒の魔物の面である。
「その身体貰い受ける」
 男はそう言うと構えを取った。中国拳法の一つ蟷螂拳の構えである。
「・・・・・・・・・」
 神埼と呼ばれたその男も構えを取った。だがそれはボクシングの構えではなかった。
「何っ!?」
 それは拳法の構えであった。
「馬鹿な、貴様神崎信雄ではないのか!?」
 男は何も答えない。その代わりに拳を突き出してきた。
「ムッ」
 仮面の男はそれを受け止めた。速かった。
「素人ではないようだな。かなりの腕前だ」
 仮面の男は拳を受け止めて言った。そし
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