拳砕ける時
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。俺あれが大好きなんですよ」
「俺はホヤはちょっとなあ。匂いがきついし」
「そんなの一度食べたら気にならなくなりますよ。かえってその匂いがたまらなくなる程で」
「そうか、そんなに言うんなら食べてみるか」
「ええ、お勧めしますよ」
二人はそう言いながら仙台の街を歩いて行く。そして喫茶店に入った。
「あれ、喫茶店にホヤはありませんよ」
「そんなことはわかってるよ。ホヤは夕食だ」
沖はチョロを窘めてテーブルに着いた。そして懐から一枚の地図を取り出した。
「さて、と。仙台の街だが」
「意外と横に長いですね」
「ああ。それに従って事件も横に伸びているな」
沖は地図に書かれたバツの字を指し示しながら言った。
「武道家の連続誘拐事件。もう数十件にもなっている」
「何か噂によると勝負を挑まれてそれに敗れると連れさらわれるらしいですね」
「ああ。仮面を被った男らしいな」
今この仙台では格闘技を嗜む人物が次々と姿を消す事件が起きている。そしてそれは謎の男が勝負を挑み負けると何処かへ連れ去ると言われているのだ。
「何かおとぎ話めいているが多分バダンだな」
「そうでしょうね。だからここへ来たんですし」
さらわれた武道家の格闘ジャンルは多岐に渡る。柔道や空手もあればボクシングやマーシャルアーツ、八極拳もある。中には剣道等武器を使うものもある。
「武器を使う人までさらわれているな。相手は素手ではないかも知れないぞ」
「怪人もいるんでしょうかね」
「多分いるだろう。どんな奴かまではわからないが」
「そうですか。何か俺達が行くところって絶対怪人が出るなあ」
チョロはそう言って溜息をついた。
「おい、何言ってるんだ。怪人を倒すのが俺達の仕事の一つだろ」
沖はそんな彼に苦笑して言った。
「安心しろ、怪人の相手は俺がする。チョロは俺のサポートをしてくれ」
「わかりました」
二人は話を終えると店を後にした。そして再び街中に出た。
「計画は進んでいるか」
地下に置かれた基地のモニターに暗闇大使の顔が映っている。
「ハッ、順調に集まっております」
その前に一人の痩せた男がいる。髪を短く刈り込んだアジア系の若い男だ。中国の拳法義を着ている。
「そうか。それは何よりだ」
暗闇大使はその言葉を聞いて満足気に笑った。
「我等の尖兵となるべき人材・・・・・・。多いにこしたことはありませんからな」
「そうだ。優れた格闘家はそれだけでも充分我等の力になる。だが改造すればさらに良い」
「新たな我等の同志、ですな」
男はそう言うとニヤリ、と笑った。
「そうだ。改造人間にすべき人材となるのだ」
「そしてその生まれ変わった彼等が我がバダンの新たな力になる」
「その為にはより多くの人材が必要だ。わかっているな」
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