氷の空に舞う翼
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」
彼等悪の組織により改造されたライダーも多いのである。
「それだけは避けねばならん、行ってくれるか」
暗闇大使はようやく本題に入った。鋭い眼で彼に言った。
「了解しました」
彼はすぐにそれに答えた。
「頼むぞ。今あの地に行けるのは御前しかいない。三影もここに戻り次第すぐに向かわせる」
「いえ、彼は必要ありません」
男はそう言ってニヤリ、と笑った。
「ほほう、大した自信だな」
暗闇大使はその言葉を聞いて目をほんの少しだが細めた。
「ゼクロスのことは私一人で充分です。それに」
「それに・・・・・・?」
「もしライダー達がいるのならそれはそれで好都合。同志達の仇を討てますしね」
彼はそう言うと目の光を強めた。それは憎しみで光っていた。
「そうか、流石は怪人達の長だけはあるな」
「それだけではないですがね。仲間の仇は地の底まで追い詰めて仇をとる。それが我等バダン怪人軍団の掟ですから」
「そうだったな、それを忘れていた」
「報告をお楽しみに。ゼクロスのことはお任せを」
彼はそう言うと姿を消した。後には気配一つ残ってはいなかった。
「期待しているぞ、フフフ」
暗闇大使はそれを見送って笑った。地の底から響く地獄の鬼のような笑いであった。
筑波洋は日本アルプスにいた。丁度長野県と岐阜県の境の辺りである。
「ふう、やっぱり何時来てもいいな、ここは」
彼はハングライダーに乗り下を見下ろしていた。下は雪で白く化粧された山々が連なっている。
『洋さん、そっちはどないでっか』
不意にヘルメットの通信機に声が入る。がんがんじいの声だ。
「こちらは今のところ何もないな。そっちはどうだ?」
筑波はマイク越しに彼に対して言った。
『こっちも何もないです。見渡す限り雪と山ばっかりですわ』
がんがんじいは実際に山々を見渡すような声で言った。
「わかった、暫く休憩しよう。今からそちらに向かう」
『了解』
筑波はそう言うと通信を切った。そしてハングライダーを旋回させた。
「ここにはいないか。次は槍ヶ岳の方へ行ってみるか」
彼はそう言いながらグライダーを飛ばした。そしてある山の上に着地した。
「それにしてもここはえらく寒いところでんなあ」
がんがんじいは缶詰を開けコンビーフをパクつきながら言った。
「ああ、我が国の屋根と言われているところだしな」
筑波はコーヒーを飲みながらそれに答えた。見れば食べ物を温める道具やアルコールランプ等が置かれている。
「だから防寒器具をたっぷり用意したんですな。凍えんように」
「うん、ここは下手をすると凍死しかねないようなところだからな」
筑波は顔を引き締めて言った。
「えらく怖いところでんな」
「山はね。急に自然が変わるし雪崩もある。一瞬たり
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