第十三話 何故かこの地にその七
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「聖杯の王に選ばれただけはある」
「あの王様に選ばれた」
「私達が」
「そして聖杯にもだ」
それにも選ばれたのだというのだ。
「君達はそれだけのものがあるのだ」
「だったらいいんだけれどな」
「この山道を走るだけのものが身に着くのなら」
「そして聖杯を元の場所に返して」
「全てできる」
また言うマスター=リーだった。
「君達ならばな」
「ではあと十往復じゃ」
ここでまたシャーフーが言ってきた。
「高野山の麓から頂上までな」
「えっ、もう十往復もしてるのに」
「まだあと十往復って」
「そんなに!?」
「これもまた心の鍛錬じゃよ」
しかしシャーフーはこう言う。
「まあ楽しくやろうぞ」
「楽しいかなあ」
「もう倒れそうだけれど」
「高野山険しいし」
「ほっほっほ、高野山に入ったのも何かの縁」
テトムのその有り得ないミスもそういうことになってしまっていた。尚彼女はガオズロックで皆の為の食事を作っている最中である。
「心を鍛える絶好の機会じゃな」
「そして勝利を確実にする」
マスター=リーも言う。
「その為の神の導きなのかもな」
「まあとにかく今は辛いけれど」
「頑張れってことか」
「努力の後に勝利ありじゃよ」
シャーフーは相変わらず凄まじい速さである。
「努力なき勝利は本当の勝利ではないのじゃからな」
「じゃあのテニス漫画は」
「何なのかしら」
「あれは駄目じゃ」
シャーフーはその漫画についてはばっさりと切り捨てた。
「あんなものは読んでも何も得られんよ」
「やっぱりそうなんだな」
「あの漫画は」
「努力を否定する奴は何もできんよ」
「それはそうね」
茉子がその言葉に頷く。
「人間努力しないと何もできないわよね」
「その通りじゃ。それを否定すると何もできん」
シャーフーは確かな声で言い切った。
「だからじゃ。才能が全てとは思わないことじゃ」
「そういえばモーツァルトは」
レツが話に出したのは天才と言われたその作曲家であった。
「毎日何時間も作曲していたっけ」
「えっ、そうだったんだ」
「何時間も」
「そうだよ。作曲していないと苦しいとまで言っていたんだ」
「つまりそれだけ作曲していた」
「努力していたんだ」
問題はそれを努力と思うかどうかである。モーツァルトはそれを努力と思わなかった。だからこそ本当の意味での天才と言えるのだろうか。
「モーツァルトも」
「天才でも」
「しかしあの漫画はただの才能だけだからね」
レツもその漫画には手厳しい。
「何にもならないよ」
「読んでも何も得られないんだ」
「レツもそう言うのね」
「駄目駄目、友情と努力と勝利」
レツも何気に熱いものを話す。
「それを全部否定して才能だけ
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