第十三話 何故かこの地にその六
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「ほっほっほ」
「うっ、マスターシャーフーってかなり」
「健脚なのね」
「おまけに」
皆そのシャーフーを前に見ながら言う。
「汗一つかいてないなんて」
「どういうこと?」
「猫は汗かきませんよ」
しかしここでさくらが皆に言ってきた。当然彼女も道着である。
「全身毛ですから」
「あっ、そういえばそうね」
「確かに」
皆ここでそのことに気付いた。さくらの言葉にだ。
「じゃあどうして身体を冷やすんだ?」
「そうよね、どうやって」
「肉球から汗をかきます」
また皆に話すさくらだった。
「それで身体を冷やしています」
「そうだったんだ、それでなんだ」
「犬が舌で汗をかくのと一緒なのか」
「そういうことなの」
「はい、そうです」
さくらはその通りだと話す。
「ですから汗は見えません」
「身体で汗はかいておらんよ」
シャーフーは今も駆けている。やはり尋常ではない速さだ。
「心でかくものじゃ」
「心で汗を」
「そんなことができるのかしら」
「つまり努力じゃよ」
シャーフーはこう説明した。
「努力をすることじゃ」
「努力なんだ」
「つまりは」
「日々これ精進」
今度はランが言ってきた。
「そういうことですね」
「そういうことじゃよ。人間努力しなければな」
「マスターシャーフーって猫なんじゃ」
「猫が努力って」
「わしは元々人間じゃぞ」
緑を周りに見ながら駆けている。山道でも普通にだ。
「それが今はこの姿になっておるだけじゃ」
「あれっ、そうだったんだ」
「元々人間だったの」
「そうじゃよ。そしてそれは」
シャーフーはさらに話す。
「他の拳聖もじゃよ」
「人間だったなんて」
「姿だけで」
「そうじゃよ。姿形がどうであれ心が人間ならそれで人間なのじゃよ」
「そうですね、その通りです」
シャーフーのその言葉に頷いたのはアスカだった。
「私も竜人ですし」
「俺もかつてはな」
そして月麿もだった。
「狼鬼だったからな」
「あっ、そういえば確かに」
「ヒカル先生も最初は蛙だったし」
「それと同じなんだ」
「結局のところは」
「そういうことじゃよ。姿形は大事ではないのじゃ」
そのシャーフーの言葉だ。
「大切なのは心なのじゃよ」
「じゃあ今の修業は身体を鍛えなおす以上に」
「それよりも」
「左様、心を最も鍛えるものなのじゃ」
こう一同に話す。
「よいな、これからの激しい戦いの為にじゃ」
「敵との決戦の前に」
「心を」
「うむ。さて、ランニングの後はじゃ」
「私の修業だ」
上からマスター=リーの声がしてきた。見れば上の木に逆さにぶら下がっている。そのうえで戦隊の面々に言ってきたのである。
「それに付き合ってもらう」
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