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東方守勢録
第七話
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ます」


俊司は軽く頭を下げると、全員にアイコンタクトをとりその場を後にした。


「……あの!」

「なんですか?雛さん」

「……お名前……聞かせてもらっても……いいですか?」

「名前?ああ…」


看守はなぜか少しためらいながらも、フゥと息を吐いてから口を開いた。


「鍵山……鍵山悠斗。偶然にも……雛さんと同じ名字だよ」

「そ……そうでしたか……じゃあ……また機会がありましたら、どこかでお会いしましょう……悠斗さん」

「ああ。元気でな雛さん」


雛はそのままコクリとうなずくと、悠斗に背を向けて走り出した。


「……もう……会えないだろうけどな。裏切り者は……なんとやら……か」


そう言って悠斗は震えそうになる手を必死にこらえていた。
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