第七話
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さん……」
涙目になった雛を看守は慰めるように頭をポンポンと叩いた。
はじめは少し嬉しそうな顔をしていた雛だったが、急に顔色を変えると看守から距離をとった。
「だめです!私は厄神ですよ!?頭なんて触ったらどうなるか……」
「そうなったらそうなっただよ。なんせこの軍に入隊した時から覚悟はしてるさ」
そう言って看守は笑顔を返した。
「というわけだから、あとはよろしくな外来人の英雄君」
「まだ英雄じゃないですよ。ところで……なぜここには雛さんしかいなかったんですか?」
「ああ……君たちが侵攻してきたと同時に捕虜の移動を行ったんだ。なにせ大切な人質だからね……いろいろ面倒になってしまうからさ……」
「でも……なんで雛さんだけが残っていたんですか?」
「ここには彼女の知り合いが二人も働かされててさ……面会してる時の彼女たちはとても生き生きしてたよ。君たちがここに来たってことは、他の二人を助けてくれるかもしれない。でも、雛さんだけは捕虜として残っていたからさ……離ればなれになっちゃうだろ?だから一か八かでこの壁紙をはりつけて、あいつらに見つからないようにしてたんだ」
「じゃあ……俺たちがここに来なかったらどうするつもりだったんですか?」
「彼女だけでも逃がすさ。もちろん、他の二人を助け出してくれると信じてだけどね…お?お仲間が来たみたいだぜ?」
看守は俊司の背後を見ながらそう言った。俊司が後ろを振り返ると、そこには見覚えのあるスキマが展開されていて、中から例の人物が現れた。
「あら?もうここに来てたのかしら」
「紫か……こっちはなんとか……その子は……にとりさん?」
「ひゅい!?どっどうして私の名前を?それに外来人……」
「まあ……後で話すよ……」
「にとり!」
俊司がめんどくさそうに頭をかいてると、背後から雛がいきなり駆けだし、にとりに抱きついた。
「ひな……」
「よかった……無事だったんだね……」
「うん……雛も無事でよかった……」
二人は抱き合ったままそのまま涙を流し始めていた。
「さてと…これで何とか目標は達成だな」
「まだよ。この子が言うにはまだ白狼天狗が…」
「それは大丈夫。きっと文がなんとかしてくれてるさ」
「そう……ならこれで終りね」
紫がそう言うと、周囲から安堵のため息がいくつか聞こえてきた。
だが、遠足は帰るまでが遠足と言うように、作戦も帰るまでが作戦である。俊司たちは一層気を引き締めて深呼吸をした。
「三十分後に司令部からの増援が来る予定になってる。早めにここを抜けたほうがいいだろう」
「わかりました。ありがとうござい
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