第29話 さらば!ウルトラマン
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に生傷が見えていた。
既に戦える力など残っていない。
魔力も底を尽き決め手だったディバインバスターも難なく返されてしまったのだ。
「う…ぐぅ…」
【マスター、バリアジャケットの耐久度が危険域です。すぐに撤退して下さい】
「い、嫌だ…ハヤタさんや皆がやられちゃったのに、私だけ逃げたくない!」
デバイスを杖にしてなのはは再び立ち上がる。
其処へゼットンがトドメを刺そうと頭部から火球を放とうとする。今のなのはに動く力など無いに等しい。
それに魔力も既に限界値な上にバリアジャケットも既に服同然の能力しかない。
今あの火球を食らえば間違いなく死ぬ。もう手段はなかった。
(嫌だ…負けたくない! あいつにだけは…絶対に勝ちたい! 今此処で私が負けたら、誰がアイツを倒すの! 嫌だ、負けたくない! 負けたくないぃぃぃ!)
レイジングハートを握り締めて強く祈る。
その時、レイジングハートの中にから声が聞こえてきた。
聞きなれない声だった。
それも耳にではなく、なのはの脳裏に直接信号の様に語りかけてきた。
【ただ一つだけ、あの怪獣を倒す方法はある。だが、それを使えば君は…】
(私はどうなっても構いません! あの怪獣を倒したい! だから…)
【……分かった。今君にその力を託す】
レイジングハートに温かな光が集まる。それを感じ取ったなのはは見た。レイジングハートの形が変わっている事に。
以前の丸みを帯びたフォルムから一変して槍にも似たフォルムとなっている。
その穂先に今まで以上の魔力が収束しているのが分かる。
だが、それよりも早くゼットンの火球が発射態勢に入った。寸分の差で間に合わない。
その時、ゼットンの側頭部を細い光線が命中した。
「撃て! 我々も加勢するんだ!」
見ると其処には科学特捜隊のメンバーが皆居た。どうやら彼等は無事のようだ。
その彼等が放った攻撃が良い陽動となったのだろう、ゼットンが火球のチャージを中断してしまった。
今が好機だ。
チャージは終わっている。
収束も完了している。
何時でも撃てる。
後は、引き金を引くだけだ。
「ハヤタさん、見てて下さい」
ギュッと唇を噛み、なのはは隣で横たわるウルトラマンを見た。脳裏に蘇ってくるのはウルトラマン、そしてハヤタとの出会いと激闘の日々。
様々な思い出がなのはの脳裏を過ぎった。それを見たなのはの目から一筋の涙が零れ落ちる。
だが、今は泣いていられない。
泣くのはこいつを倒してからだ。
魔力の限界に伴い体中が悲鳴を挙げている。
恐らくこれを放ったら、最悪自分は死ぬだろう。
だが、構うものか。
こいつを倒せるのなら命を失うなど構いはしない。
その思いと
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