GGO編
百二話 バトル
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「っ！」
「疾っ！」
リョウはそのまま左のXMを躊躇い無く手放すとそのまま開いた左手で足に付いたもう一本のナイフを引き抜きそのまま一気に振るいにかかる。
「えいっ！」
「うおっ！？」
が、アイリとて負けてはいない。逸らされた突進突きの勢いを減らさず、彼女はそのままリョウに思い切り体をぶち当てる。
元来装備重量の重いリョウは軽装のアイリの突進程度では揺らがないが、今はXMを落としているため実は実際重量は先程までより落ちている。
かなりの勢いでぶつかってきたアイリに、リョウは少しだけ体勢を崩し、左のナイフを振り切るより前に一歩下がってしまった。
そのため、ナイフの間合いからアイリが外れる。更に……
「おっ……！」
「っ！」
「りゃああっ！！」
そのまま光剣を引きもどしたアイリは、それを一気に上段から振り下ろしてきた。
リョウは手に持ったナイフを逆手から反転させると、二本を交差させてそれを受け止める。が……
「まだっ！」
「ぬっ！？」
リョウの頭より上の位置で止められた光剣はそのままさや走るかのように交差されたナイフの間を刷り落ちると、アイリはそのままその剣を腰だめに引き……
「やあっ！」
「ちっ！」
突き出す！！
それを思い切り上に飛んで回避したリョウはと言うと、シュピーゲルと戦った時のように体勢を逆さにし……
「……！」
対し、アイリは突き出した剣を驚くべき速度で引きもどすと、居合の構えの如く、刀を納刀したような構えを取る、しかもそのまま……
『背中……！？』
ぐるりと半回転し、背中を向けたではないか。何のつもりか、しかし考え切るよりも早く、リョウの足が天井に到達した。
「お……羅ァっ！！」
「六式……！」
その足を曲げ……飛び出す！
と同時に、アイリがその剣を、真横に振った。
ギリリリッと強めの音がして、アイリとリョウの刃がぶつかり合う。しかし驚いたのは、リョウの方だけだ。
『止めやがった……！』
自分は筋力値を全開にして飛び出したのだ。にもかかわらず、敏捷優先のアイリがそれを停めた事にリョウは驚く。それほど剣を振るスピードが速いと言う事か……！
ギャンッ！と不快な音を立てて、二人は再び距離を取る。
と言っても、流石にアイリの方が吹っ飛んだが……二人の間には、ころがったXMが有る。
「やれやれ……血の気の多いこって」
「そう？私今すっごく楽しいけど！」
凄まじく良い笑顔でアイリは返す。その神の奥では、深紅の瞳がギラギラとした輝きを放つ。成程……
『あの子戦いになると性格変わるから』
「確かに……」
小さく呟きながら、リョウはナイフを構えた。
「行くよ……八つ裂きにしてあげる！」
うん。まじで性格変わってる。
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