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蒼き夢の果てに
第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第8話  式神契約
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 それに、俺の場合には、もうひとつ厄介な事情と言うヤツが有りますから……。

「せやけど、現状のタバサとは、四大精霊どころか、もっと格の低いそれぞれのエレメントと言うべき精霊とも契約は難しい。
 せやから、精霊と直接契約をする代わりに、妖精や妖魔と契約を交わす事に因って、彼ら、彼女らの支配する精霊を間接的に支配して、魔法を発動して貰おうと思ったんや」

 もっとも、それは、この場に顕われた妖精達の答えひとつで、簡単に白紙に戻される考え方なのですが。

「こう言う理由から、使い魔は一人に付き一体のみ、と言うこの国のルールを破る事になっても平気か、と聞いたんや。
 さて、どうする、タバサ。複数の式神と契約を交わして魔法を発動させるか、
 それとも、今まで通り、精霊の生命を消費して魔法を発動させ続けるか」

 但し、ここまで説明したら、こんな質問など無意味でしょう。
 その理由は、最初に自分には魔法が必要と言った台詞も、俺に対する答えと言うよりは、自分自身を納得させる為に必要だった台詞だと感じましたから。ならば、これが為せるのなら、彼女に取ってデメリットは何も有りません。

 成功するかどうかは判らないけど、試して見る価値は有ると思いますからね。

「貴方の言う事が為せるのなら、わたしも試して見たい」

 未だ表面上からは心の動きを感じさせない表情及び口調なのですが、それでも、頑なだった雰囲気からは大分変わっているし、前向きな態度でも有ると思います。

 それならば、

「泉の乙女。そして、森の乙女よ。聞いての通り、契約を交わして貰いたいのは俺では無く、この少女の方なのだが、どうだろう、契約を交わして貰う訳には行かないだろうか」

 俺の問いに、それぞれの妖精が肯定を示す。これで契約の意志の確認は完了です。
 ならば、次の段階は……。頭の中で、慣れた作業を思い浮かべながら、泉の乙女の方に向き直る俺。そして、

「そうしたら、先ずは泉の乙女。オマエさんは、以後、この青玉に居を移して貰う事になるけど構わないな?」

 俺は、財布の中から取り出した大粒のサファイアを差し出しながら、そう聞いた。

「はい、構いません」

 泉の乙女ニンフがそう答えた。もっとも、断られるとは思っていませんでしたが。
 その理由は、このサファイアが、かなり良質な天然のサファイアですから。このサファイアを持ち出して、それでも尚、この申し出を断られたとしたら、俺の交渉技術のへぼさと魅力の無さに気付かされて立ち直れなく成ります。

 それに、この宝石は、俺からタバサへの最初の贈り物となります。それならば、それなりの代物を準備する必要があるでしょう。

「そうしたら、タバサ。このサファイアを左手の手の平の上に。右手は、俺の右
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