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あいらぶらざー!
手を繋ぐ姉
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をどうするつもりよぉおおお!ここがお城であたしがお姫様なら格好もつくけど、ここは足下で蛙がゲコゲコ鳴いている田舎道、あたしはずぶ濡れで、この人は…まぁ王子様って言ってもいいかもしれないけど、でも村中で舞踏会みたいに手を引かれて歩いていたらそれこそ目立って仕方がない。



 躊躇しているあたしの手を、男は笑いながら優雅な動きですくい取ると、そのまま下ろして歩き始めた。



 えっ、えっ、ええ、え!?こ、これって、普通に手を繋いで、歩いて、え、歩いて、ええ!?



 もうあたしの頭はパンク寸前。



「か、からかうのは、やめてくださったんじゃ、ないんですか…」



「キミは淑女と言うより…」



 あたしがようようそれだけ言うと、男はちらとあたしを見て、楽しそうに含み笑いをした。



 あたしはそれで彼が何を言いたいかがわかって、一気にむくれた。



「どうせっ!あたしは淑女じゃありませんよ!ちいさい迷子とでも言いたいんでしょう。迷子とは手を繋いでおうちをさがしますもんね!」



 あたしがガサツなのは自分がよーくわかってる。都に住んでるお姫様となんて比べるべくもないことも。いつも思ってた。あたしがもっと、綺麗だったら。女の子らしかったら。レアンオン兄さまも、きっと…。



 あたしがいきなり押し黙ると、男は慌てて手を離してあたしの顔を覗き込んだ。



「すまない。キミを傷つけるつもりはなかったんだ。私には妹がいて、その、キミのようなかわいらしさを全く持っていない妹だから、ついキミのような妹がいたらと思ってやり過ぎてしまった。決してキミを侮辱する意図があったわけではない。許して欲しい…」



 その言葉と同時にあたしは顎をすくいあげられると、男は流れるような動きであたしの右耳の後ろに口づけた。男の髪と肌の熱が触れる。



 ひゃ、あああああああああああああ!?



 あたしはもう咄嗟に男を突き飛ばしていた。突き飛ばされた男は呆然として傷ついたようにも見えたが、はっと真剣な顔であたしに一歩踏み出した。



「違うんだ!これは仕来(しきた)りで…」



 あたしは男の声なんか聞いていなくて、その一歩が踏み出された瞬間に、怯えて毛を逆立てる獣のように一歩半飛び退り、そのまま振り返ると脱兎の(ごと)く駆けだした。



 うわーんもうなになになになにー!



 今日は最悪な日だ!
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