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あいらぶらざー!
手を繋ぐ姉
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う。これを着なさい」



 そして、(おもむろ)に身体を覆う上着を脱ぐと、あたしに差し出してくれた、けどもあたしは上着なんて見てなかった。



 取り払われたフードの黒の下溢れ出た色は、なんと瞳と同じ赤だったのだ。背の中程まである赤いぱさぱさの髪の数束が、見たこともないほど複雑に編んであって、それに赤い宝石が編み込んである。



 うそ、ラトゥミナ族!?



 瞳が赤い人も、髪が赤い人間も珍しくないのだけど、髪も瞳も赤い色は、とても珍しい。…ってなんだか少し前に同じことで驚いてた気がしなくもないけど。



 黒い瞳、黒い瞳のカルミナ族、赤い瞳、赤い髪のラトゥミナ族…。



 こんなどうってこともない辺鄙な村で、レアキャラに連続して遭遇するなんて…ここ10年の運は使いきったと思う。



「か、借りれません…」



 ん?と男は首をかしげた。



 この上着は、完全にラトゥミナ族って言うのを隠すためのものだと思う。確かに赤い髪赤い目なんて目立って仕方がない。それをたかが濡れたぐらいであたしが借りるわけにいかないよね…やっぱり。



 あたしが躊躇する理由に思い当たったらしく、男はああと声をあげた。



「私のことは気にしなくていい。隠していたのは私だけの理由じゃないからな」



 よくわからないけれど、あたしが受けとるまで男は上着を差し出す手を下ろさないだろうなと思ったので、おそるおそる年季が入ったかさかさの上着を受け取った。



「ありがとう、ございます…」



「はは」



 何が面白かったのか、男は愉快そうに笑うと、あたしの頭に大きな手をのせるとくしゃりと撫でた。



 な、な、な…。



 あたしはまた真っ赤になってしまう。



「失礼。淑女にすることではないかな」



 そう言いながらも、楽しそうに笑いを堪える男の手はあたしの頭の上からどかない。



「そ、そう思うなら、やめて、くださ、い…」



 恥ずかしすぎてあたしが息も絶え絶えに言うと、男は更に笑った。



「からかうのはここまでにしておこうか。今にも卒倒してしまいそうだ」



 だ、っだれのせいだと…!



 あたしは田舎の男兄弟の中で育ったからか、こんな女の子扱いというか、一人のレディとして扱われたことが今までない。



 男の手はするりと滑り、頬の横の髪を撫でて離れた。



 その手はそのまま、あたしの目の前に差し出される。



「お手を」



 男は楽しそうに笑って言った。



 手、手!?あたしの手
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