第173話
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ゃないじゃんかー?」
「今日は記者デーだから人数は少ないわよ。
明日は一般開放だから地獄絵図。」
「そう言われても嬉しくないじゃんよー。」
「喜ばせるための発言じゃないもの。」
エンジニアの言葉にゲッソリしながら、愛穂は今まで抱えていたヘルメットをゴトンと床に下ろす。
このヘルメット、全幅五〇センチ近くある。
学園都市を徘徊しているドラム缶型のロボットを被せているように見えるのだ。
そのくせ、駆動鎧の他のパーツは西洋の鎧を少し着ぶくれさせた程度のサイズなので、かなり頭でっかちなシルエットをしていた。
「あつー。
つか、もう全部脱いじゃうじゃんよ。」
言いながら、愛穂はヘルメットのなくなった首の部分からズルズルと外に這い出た。
駆動鎧の下に着込んでいるのは、特殊部隊が装着するような黒系の衣装だ。
愛穂は動きを止めた駆動鎧に背中を預けるように座り込み、片手を振って自分の顔になけなしの風を送りつつ。
「ったく、駆動鎧っていうのは装甲服を着て乗り込むもんじゃないね。
もっと通気性の良い、駆動鎧専用の作業服とかないじゃんよ。」
「じゃあ企画部長の出した案に乗っていれば良かったじゃない。
駆動鎧を脱いだら大胆なビキニがご登場。
報道陣も拍手喝采で大喜びって寸法よ。」
抑揚のない声を聞く限り、思いきり他人事として処理されているらしい。
愛穂は顔中にベタベタとくっついた汗の珠をタオルで拭いつつ、
「つか、あの企画部長は何でコンパニオン談義になるとああも机から身を乗り出してくるのかね。」
「趣味なんでしょう、可哀想に。」
「そもそも、この全日本ガサツ女代表黄泉川愛穂にコンパニオンのおねーさんみたいな真似ができる訳ないじゃんよ。
どこをどう間違ったらこんな人選になるんだか。」
「警備員ってのも大変ね。
自衛隊並に雑用を押し付けられて。」
「やっと退院して、最初の仕事がこれってひどいじゃんよ。
やる事がないって事は、それだけ平和だなーって事なんだけど。」
愛穂はあの事件以来入院して、数日前に退院した。
警備員の仕事も復帰して初めての仕事がこれだ。
あの事件の出来事は他の警備員には報告していない。
というより、しても信じて貰えないだろう。
自分も他の同僚から、その話を聞かされたら信じられる自信がない。
故に、同僚達は愛穂の手と足が義手である事も知らない。
教えれば仕事に支障が出るかもしれない為、教えない事にした。
入院した理由は、警備員のほとんどが意識を失った際に、怪我をし
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