街を覆う毒霧
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答えた。
「しかし雰囲気がまるで違うな。ここは難波からそのまま来たって感じだ。東京は一駅ごとにまるで違っているってのに」
「それが大阪なんですよ」
ルミは笑って言った。
「雑多で騒がしい雰囲気で。それが街中に拡がっているんです」
「そうだな。何か難波から来てもまるで違和感がないよ」
彼はそう言いながら道を走っていく。そしてルミの親戚の叔父さんの家に来た。
「おお、よう来たなあ。まああがりや」
その叔父さんは気さくでざっくばらんないい人であった。城も心おきなく迎えられた。
そして客室に泊めてもらった。狭い家だが部屋はちゃんとしている。
「何か変な気分だな」
布団の中で城は天井を見上げながら呟いた。
彼は天涯孤独で親戚なぞいない。立花が父親代わりだが彼やライダー達の他は親しい者もいないのだ。
「あいつもいないしな」
かって共にブラックサタンと戦ったあの戦士ももういない。彼は他のライダー達と比べても孤独な境遇であった。
彼女が倒れた後彼は他のライダー達と共にデルザーと戦った。そしてデルザー崩壊後は日本を旅立ち一人で悪と戦ってきた。
時には滝など共に戦う者もいた。だがその殆どを彼は一人で戦い抜いてきた。そして夜の空の下で眠っていたのだ。
「こんなことははじめてだな」
人の家に泊めてもらう。今まで立花の店で寝ることはあった。だがその他は常にホテルか野宿であった。これも改造人間である彼だからこそ苦でもなかったが普通の人間ならばその負担はかなりのものであっただろう。
だが戦士としての気は鈍ってはいなかった。この地で暗躍しているであろうバダンを倒す為彼は明日以降のことについて色々と考えていた。
「カマキロイドも倒れたか」
暗闇大使は基地の一室で戦闘員からの報告を聞いていた。そこはどうやら彼の個室であるらしい。普段の蛇の様な外見ではなく深緑の軍服を着ていた。
その部屋は暗い。玉座に似た椅子の他は何も無い。だが異様に広くその四隅が何処まであるのか見当もつかない程であった。
「ハッ、ですが遺体は無事回収し終えました」
その戦闘員はそう言って敬礼した。
「うむ、それならばよい」
彼はその報告を聞いて満足気に頷いた。
「しかしライダー達のパワーアップは我々の想像を遥かに超えているな」
彼は戦闘員に対して言った。
「これで七体の怪人が倒された。それと共に七つの作戦も失敗に終わった。日本における我がバダンの計画は奴等のせいで全く進んでいない状況だ」
「残念ながら・・・・・・」
戦闘員はその言葉に顔を俯けて答えた。
「そなたが謝る必要は無い。責任は全てわしにある」
「ハッ・・・・・・」
戦闘員はその言葉に畏まった。
「だからこそわしも悔やんでいるのだ。悔やんでも仕方のないことである
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