街を覆う毒霧
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ンの店でラーメンを食べながらルミの話を聞いていた。脂っこい豚骨スープのラーメンである。
「はい、丁度お休みですし」
「・・・・・・そういえばそういう時期か」
城はルミの言葉に頭の中でカレンダーをめくりながら言った。
「こういう稼業やっていると月日の流れを忘れちまうな。俺達にとっちゃあ季節の移り変わりもあまり意味がないしな」
改造人間である彼等にとって暑さや寒さは問題ない。ただ景色が変わるだけである。
「まあそれが凄くいいんだけれどな。どの季節も味わいがあるし」
「茂さんはどうして大阪に?」
考えながら独り言を言う城にルミが語りかけた。
「あっ、俺!?」
城は考え込んでいる時に言葉をかけられていささか驚いた。彼女のことをすっかり忘れていたのだ。
「ええ、そうですよ」
ルミはそんな彼の顔を見て微笑んだ。おかしかったらしい。
「俺は仕事。ここにもバダンの連中がいるらしくてね」
「えっ、バダンが!?」
ルミはその言葉に顔色を暗くさせた。
「ちょっと、声が大きいよ。まさかこんなところにうろついているとは思わないけれど万が一ということがあるからな」
「は、はい・・・・・・」
ルミは城の言葉に思わず口を当てた。
「俺はこれからここでバダンの奴等を捜す。そして奴等を見つけ次第叩き潰す。ルミちゃんは危ないから親戚のところに
行っているんだ」
彼はルミに対して強い口調で言った。だがルミは彼のそんな言葉に対して首を横に振った。
「何言ってるんですか。城さん一人じゃ危なっかしくて見ていられませんよ」
「えっ、俺が!?」
彼の事は立花からよく聞いていた。無鉄砲で突拍子もない行動を取る、と。
「それに一人より二人のほうがいいでしょ。泊まる場所もわたしの親戚のお家がありますし」
「しかしそれは・・・・・・」
いささか気が引けた。カプセルホテルにでも泊まりながら戦うつもりだったのだ。若しくは野宿。これは慣れていた。
「いいんですよ、わたしの親戚の叔父さん優しいし。そうと決まったらすぐ行きましょう」
「う、うん・・・・・・」
ラーメンを急いで食べ終えルミに急かされて彼は店を後にした。そして市営地下鉄に乗り住吉区まで来た。
住吉区の名の由来はここに住吉大社があるからである。大阪で最も長い歴史を誇る神社であり祭られている神々も海の神を中心に多い。大阪人にとっては大阪城と並ぶ心の拠り所である。
ここは所謂下町である。昔からこの地に住んでいる人が多く。雑多で独特な雰囲気がある。道を行けばお好み焼きやたこ焼きの香りがしてくる。そして駄菓子屋では爺さんや婆さんが店番をしている。
「何か東京の下町みたいだな」
城はルミをバイクの後ろに乗せ辺りを見て言った。
「はい、確かに似ていますね」
ルミはそれに対して
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