街を覆う毒霧
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整えた。運河を整備し橋を架けた。なお橋は後に大阪の豪商達が架ける事になったが台風の度に架けなければならずそれが負担で傾く家もありそれが『くい(杭)だおれ』の語源の一つともなった。
復活した大阪は天下の台所として発展した。徳川幕府は大阪城に大阪城代を置き西方の拠点としたが武士は殆どおらず町民の町であった。商人達が商売に精を出し町民達は生活を楽しんだ。近松門左衛門が浄瑠璃の台本を書き竹本義太夫がそれを動かした。井原西鶴や上田秋成等の文学者を輩出した。長きに渡って商業、町民文化が栄えた。
明治時代以後もその繁栄は続くが意外な人物がこの町から出ている。明治の偉大な教育者福沢諭吉である。この人は一見堅苦しいイメージがあるが実は現実的で中々面白いざっくばらんな人物であった。彼は大阪の適塾で学んでいたのである。彼もまた大阪で育った人である。
今も大阪は我が国で屈指の大都市である。雑多な人々と独特な雰囲気で知られる魅力的な街である。
「それにしてもまたえらく変わった雰囲気だな、何時来ても」
城は難波の道頓堀を歩きながら言った。彼もこの街に何回か来ているがいまいち溶け込めない。関東の人間から見ればこの街はかなり異質なものだという。
「まあそれが面白いって言えばそうだが。とりあえずは何か腹に入れるか」
彼はまずたこ焼きを食べた。そしてお好み焼きやきつねうどんを食べた。
「食べ物は美味しいな。誇らしげに言うことはあるよ」
うどん屋から出て来た彼は満足した顔で言った。そして橋の上に着た。
ここは通称引っ掛け橋という。ナンパしようとする男達がいつもたむろしている。
「誰も引っ掛かってないな。それもそうか」
見れば声を掛ける男達も単なる暇つぶしのようである。真剣にやっているとは思えない。
しかし中には性質の悪いのがいるものである。
「まあええやん。そこでお茶でも飲もうや」
ガラの悪い兄ちゃんが女の子に声をかけている。女の子はそれに対して戸惑っている。
「さあ行こうで。別に何もせえへんからな」
こう言って何もしない奴がいた例は無い。城は彼等を咎めようとした。
「おい、そこいらで止めろ」
「あん?あんたにそんなこと言う権利・・・・・・」
そこで彼は拾った小石を握り潰した。小石は砂になった。
「失礼しましたあーーーーーっ!」
兄ちゃん達はそれを見て逃げ去って行った。実にわかりやすい。
「さて、とお嬢ちゃん」
城は男達に絡まれていた少女に声をかけた。
「一人でここを歩くのは止めたほうが・・・・・・んんっ!?」
彼は少女の顔を見て驚いた。何と彼女は一条ルミであった。
「えっ、茂さん!?」
驚いたのはルミも同じであった。驚いて彼の顔を見上げる。
「そうか、親戚のところへ遊びに来ていたのか」
彼は金龍ラーメ
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