街を覆う毒霧
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あっちにいるとか」
「そうか。後で茂に連絡入れとくか。バダンの奴等にさらわれたりしたら大変なことになる」
「はい、それがいいですね」
「そろそろ丈二の奴から連絡が入る頃だな。ちょっと行って来る」
「どうぞ」
立花は通信室に入った。丁度まさひこが通信機の前に座っている。
「どうだ、丈二から連絡はあったか?」
「今日はまだ。あっ、今来ました」
「よし、わしが出る」
立花が出た。やはり結城からの連絡であった。
「おおそうか、志郎の奴はそっちに無事辿り着いたか」
立花はその報告に顔を頷いた。
「で、そっちに来客か。・・・・・・伊藤博士?」
彼はその名に眉を顰めた。
「ご存知ですか?」
結城は尋ねた。見れば大学のひっそりした人気の無い場所から電話をかけている。
「聞いたことはある。医学や工学の権威だという。最近突如として消息を聞かなかったが」
立花もその名は知っていた。
「で、何でその人が急にそっちへ現われたんだ?」
「それが・・・・・・。ただやたらと大柄な若い男を連れていますが」
「大柄な若い男か・・・・・・」
立花はそれを聞いてさらに眉を顰めた。
「もしかするとバダンじゃないのか」
「その線は充分にありますね。今風見が彼を見張っています」
「注意してくれ。今からわしがそっちに行く」
「了解」
立花はそう言うと通信を切った。そしてまさひこに対して言った。
「済まん、急用が出来た。ちょっと店を開けるぞ」
「はい」
立花はジープのエンジンを入れた。そして城南大学へと向かった。
大阪は古来より朝廷にとって重要な場所であった。何故なら港がありそこから渡来してくる者が多かったからである。聖徳太子もこの地に四天王寺を建立している。大化の改新の時には孝徳天皇がここに難波宮を置かれている。
室町時代には堺が栄えた。この街の商人達は明との勘合貿易で巨万の富を得ていた。
戦国時代にはここに石山本願寺が本拠地を置いた。そして織田信長とあしかけ十年に渡って死闘を繰り広げた。本願寺の勢力は信長にとって最大の脅威であり彼等との戦いは信長の天下統一を十年は遅らせたと言われる。
信長もこの地の重要性に注目していた。彼は堺の商人達との関係が深かったが何よりも天然の良港を持ち開発が進んでいるこの地の重要性をよく認識していた。
彼の後を受け継ぐ形となった羽柴秀吉はこの地に本拠地を置いた。天下の名城大阪城を築き城下町を整えた。彼のお膝元としてこの地はさらなる発展を遂げた。
だが大阪の陣で焦土となってしまう。幸い大阪の町民達は戦の前に一人残らず避難しており町が焼けただけで済んだ。だが大阪城は紅蓮の中に消えていた。
だが大阪は再び発展した。徳川幕府がここを再び整えたのである。
大阪城を再建し城下町を
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