森に煌く刃
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「どうだ、敬介の奴から連絡は入ったか?」
立花は店の裏のガレージでバイクの修理をしながらそこに来た純子に問うた。
「はい。瀬戸内のバダンの基地を壊滅させたそうです。今呉にいる、と仰ってました」
「おう、呉か。またえらく渋いところにいるな」
立花はその街の名前を聞いて声をあげた。
「呉って何かあるんですか?」
それに対し純子が尋ねた。
「おっ、知らないのか?呉っていえば軍港で有名だろうが」
「えっ、そうだったんですか?じゃあ横須賀みたいなところですか?」
「あそこまで垢抜けちゃいねえがな。まあ独特の風情があっていい街だぜ。純子も機会があれば行ってきたらいいんだ」
「それじゃあ機会があれば。けれどバダンを倒すほうが先ですね」
「そう、その通りだよ。やっぱり純子は違うよなあ、その真面目さをチコとマコに見せてやりたいよ」
「あら、お言葉ね」
そこにチコとマコがやって来た。
「どうせあたし達は不真面目ですよ」
二人は口を尖らせて言った。
「おいおい、そんなに怒ることはないだろ」
立花は二人を宥めるように言った。
「ふーーーんだ」
二人はツン、と拗ねている。そんな二人に立花は切り札を出した。
「わかったわかった、後でホットケーキを焼いてやるから機嫌を直せ」
ホットケーキを聞いて二人の耳がピクリ、と動いた。
「ホットケーキ?それはいいわね」
まずは健啖家のチコが動いた。
「そうね、じゃあ勘弁してあげますか」
マコも動いた。案外簡単に機嫌を直した。
「やれやれ。まあ敬介のほうも上手くいったし。後の連中はどうしている?」
「本郷さんと一文字さんは今千葉に行ってます。そこで滝さんと特訓中です」
「そうか、あいつ等らしいな」
純子の言葉に立花は目を細めた。やはり付き合いが最も長いからこそか。
「志郎さんが今こちらにいます。丈二さんは城南大学で海堂博士達と一緒です」
「そうか、志郎がいるのか。それは心強いな。丈二もいるしもうすぐ敬介も帰って来る。また賑やかになるな」
そして彼はまた尋ねた。
「他の奴等から連絡は入ってないか?」
「茂さんが大阪、洋さんが日本アルプス、一也さんが仙台におられます。どうやらバダンの影を確認したらしくて」
「そうか。ところでアマゾンは?」
最後の一人の所在を問うた。
「それが・・・・・・」
三人は急に口ごもった。彼からは一切の連絡が入って来ていないのだ。
「・・・・・・あいつは機械とか苦手だからな。まあそのうち怪人をやっつけてこっちへふらりと戻って来るだろう。あいつはそういう奴だ」
立花は苦笑して言った。
和気藹々とした喫茶アミーゴ。そこへ一両の軽トラックが近付いて来る。
「ちょっと喉が渇いたな。お茶にするか」
博士が村雨に言った。
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