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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
海魔泳ぐ海
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あるし」
 「あそこは大きな軍港ですからね。大和が作られた程の」
 「はい。よくご存知ですね」
 大和は第二次大戦の時の有名な戦艦である。巨大かつ美しい姿をしていた。おそらく今までの軍艦の中で最も美しいものであっただろう。今は沖縄の海に眠っている。
 「今はあんな大きな船はありませんけれどね。それでも多くの軍艦がありますよ」
 神は楽しそうに言った。まるで子供の様に無邪気な顔である。
 「ほう、それだけあるのか。それは沈めるのが楽しみだな」
 何処からか声がした。
 「何っ!?」
 二人はその声に身構えた。そして辺りを見回す。
 「バダンかっ!?」
 「いかにも」
 声がした。そして海から複数の影が現われた。
 「神敬介、そして役清明か。はじめまして、と挨拶をしておこうか」
 その影の中央にいる男が言った。
 「バダン改造人間の一人カニロイド、貴様を倒す男の名だ」
 彼は不敵に笑ってそう言った。
 「ほう、カニロイドか。一連の沈没事件は貴様の仕業だな」
 「その通り」
 カニロイドは言った。その間にもジリジリと間合いを詰めてくる。
 「瀬戸内の安全を脅かし船の行き来を止める。そして日本の経済を破綻させる為にな」
 「ほほう、考えたな。だが俺達に見つかったのが運の尽きだったな」
 神も身構える。その目が油断なく光る。
 「それはどうかな。俺は逆に運がいいと思っているのだ」
 「何っ!?」
 「貴様の首を偉大なる我等が首領に捧げる事が出来るのだからな」
 彼はそう言うと両手を掲げた。するとその手が赤い鋏になった。
 そして全身が変化していく。脇からも足が生え背中から巨大な鋏が生える。皮膚が甲羅になっていく。
 「・・・・・・それが貴様の姿か」 
 「そうだ、この素晴らしい姿を冥土の土産に覚えておけ」
 彼はそう言うと口から泡を吐き出してきた。神と役はそれを左右に跳んでかわした。
 「御前達は役をやれ。俺は神敬介を倒す」
 「ハッ」
 戦闘員達はそれに応えた。そしてその言葉通り役に向かっていく。
 「フフフ、行くぞ神敬介よ」
 彼はそう言うと間合いを詰めてくる。そして鋏を振りかざした。
 「ムッ」
 神はそれをかわした。次々に繰り出される四つの鋏をかわす。
 だがそれにも限界がある。彼は砂浜の松の木の前にまで追い詰められた。
 「どうした、もう逃げ場所は無いぞ」
 カニロイドは笑った。残忍な笑みであった。
 「これで終わりだ、死ねぇっ!」
 背中の巨大な二つの鋏を突き立てる。それは恐ろしい唸り声をあげて神に襲い掛かる。
 今まさに貫かれんとするその時であった。彼は右に跳んだ。
 「クッ!」
 鋏は松の木を打ち砕いた。木は真っ二つになって折れた。
 「何処だっ、神敬介!」

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